講演情報

[O3-1]シランカップリング剤のスペーサーの違いが長石系セラミックの接着強さに与える影響

*吉實 舞1、丸尾 幸憲2、吉原 久美子3、入江 正郎4、松本 卓也4、秋山 謙太郎1 (1. 岡山大学学術研究院 医歯薬学域 咬合・有床義歯補綴学分野、2. 岡山大学学術研究院 医療開発領域 歯科 補綴歯科部門、3. 産業技術総合研究所 健康医工学研究部門、4. 岡山大学学術研究院 医歯薬学域 生体材料学分野)
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【目的】
 有機・無機ハイブリッド材料の使用増大に伴い,修復後の長期安定性には無機材料表面のシラン処理が重要な要因となっている.本研究は,スペーサー長の異なるシランカップリング剤を用いて無機材料の接着性に与える影響を検討した.
【方法】
 シランカップリング剤にはスペーサー長の異なる1-MMS,3-MPSと8-MOSを用い,無水エタノールを用いて0.01,0.03ならびに0.07 mol/Lに調整した.長石系セラミックの被着面を鏡面研磨後,調整したシランカップリング剤を用いて30秒間処理し,被着面上にパナビア®️V5を用いて,ステンレスロッドを接着させた.直後,1日,1,3,6か月間水中浸漬後にせん断接着強さ(中央値)を測定した.
【結果と考察】
 無処理では,せん断接着強さは接着直後の4.0 MPaから1日後に4.9 MPaと増加したが,1か月後には低下した.3か月後に一度的な上昇を示したが,6か月後には6.8 MPaまで低下し,破断面はいずれも界面破壊であった.水吸収による膨潤や界面応力,加水分解による界面劣化が影響している可能性が考えられた.
 1-MMS群では,全濃度において接着直後から10.4~10.9 MPaと高い接着強さを示した.0.01と0.03 mol/Lでは1日後に増加した後,1か月後に低下する傾向を示した.0.07 mol/Lでは3か月後に23.7 MPaと最大値を示し,6か月後においても17.4 MPaと比較的高値を維持した.破断面は凝集破壊が多く観察された.
 3-MPS群では,全濃度で3か月後に最大値を示し,0.03 mol/Lで33.8 MPaと最も高い接着強さを示した.6か月後では0.07 mol/Lで11.6 MPaを維持し,破断面も3か月後では全て凝集破壊であった.3-MPSは,短期間の応力分散に寄与する可能性が示唆された.
 8-MOS群では,全濃度で3か月後に接着強さのピークを示し,0.07 mol/Lでは6か月後においても13.2 MPaと高値を維持した.破断面は3か月後で全て凝集破壊であり,高濃度ほど凝集破壊および混合破壊の割合が増加した.8-MOSは可とう性により応力分散が得られるが,配向不均一の影響を受けた可能性が考えられた.
 本研究の処理条件下では,シランカップリング剤の種類および濃度は,接着界面の初期濡れ性ならびに界面応力の緩和に影響を及ぼすことが示唆された.