講演情報

[O5-4]生体適合性ならびに抗菌性を具備する新規インプラント材料の創製

*小正 聡1、佐藤 秀明2、三宅 晃子3、橋本 典也4 (1. 大阪歯科大学 医療保健学研究科、2. 東京都市大学理工学部機械工学科、3. 大阪歯科大学医療保健学部口腔工学科、4. 大阪歯科大学歯科理工学講座)
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【目的】
 新規セラミックスである窒化珪素が優れた機械的性質,生体親和性および抗菌性を有する材料として注目されている.しかし,歯科用インプラント材料への応用には至っておらず,主要なインプラント材料の一つである純チタン金属への成膜をすることでお互いの利点を生かせないかと考えた.本研究の目的は,純チタン金属表面に窒化ケイ素を成膜させたところ,生体適合性ならびに抗菌性にどのような影響を与えるのか検討したところ,興味深い知見をえられたので報告する.
 【方法】対照群には無処理の純チタン金属板,実験群には東邦化研にて窒化珪素をコーティングした純チタン金属板を使用した.成膜前後の純チタン金属板表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察,表面元素を走査型X線光電子光分析装置(XPS:PHI-X tool;ULVAC-PHI社製)および蒸留水を非接触状態で滴下し,接触角の測定を行った. 次に,骨髄間葉細胞を使用し,骨髄細胞初期接着数の比較,培養6時間後の細胞接着像のSEM観察を行った.ウシ血清アルブミンの吸着量ALP活性,カルシウム析出量および硬組織分化誘導に関する遺伝子マーカーの発現を測定した..次に黄色ブドウ球菌を使用し,各種材料表面の細菌の初期付着像のSEM観察ならびに抗菌性評価を行った.また,この新規材料の細胞毒性評価についてV79細胞を使用し解析した.なお,統計解析はstudentのt検定を用いて解析した.
 【結果と考察】 SEMによる成膜前後の表面観察と XPSによる表面解析結果から純チタン金属板表面に窒化ケイ素がコーティングされていることが明らかとなった.蒸留水の滴下試験では実験群の接触角の低下が有意に認められた.次に,すべての計測時間においてウシ血清アルブミン吸着量および硬組織分化誘導に関するマーカーが対照群と比較して実験群において高い値を示した.細菌実験の結果,対照群では顕著な細菌付着が認められたが、実験群では付着が最小限であった.また,窒化ケイ素のコーティングにより,純チタン金属板上のバイオフィルムの形成量の大幅な減少がみられた.細胞毒性試験では,実験群と対照群で細胞の生存率に有意な差は認められなかった. 以上の結果から,純チタン金属板に窒化ケイ素コーティングすることで,骨髄細胞の初期接着能および硬組織分化誘導能を向上させ,抗菌性をも具備させうる可能性を示唆した.