講演情報
[P-109]ウェアラブル型咀嚼計により評価した地域在住高齢者の習慣的咀嚼運動と認知機能の関連
*徳本 佳奈1、三野 卓哉2、黒﨑 陽子2、白水 雅子1,3、山本 薫子1、西浦 恵奈2、山野 恵莉菜2、長谷川 陽子1,4、前川 賢治2 (1. 兵庫医科大学医学部歯科口腔外科学講座、2. 大阪歯科大学歯学部欠損歯列補綴咬合学講座、3. 京都光華大学短期大学部歯科衛生学科、4. 新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野)
【目的】
習慣的によく噛むことが認知機能に好影響を与えるという仮説が支持されつつあるが,既存の習慣的咀嚼運動の評価には,主観評価である質問票や瞬間的な最大咬合力などが代替として用いられてきた.そこで,本研究では咀嚼運動を直接かつ客観的に評価可能なウェアラブル型咀嚼計を用い,習慣的咀嚼運動と認知機能の関連を検討した.
【方法】
2024年6月から2025年11月に兵庫県丹波篠山圏域対象のコホート研究に参加予定の高齢者のうち,2023年までに認知機能検査のMini Mental State Exam(MMSE)が評価された者を対象とした.前回調査時のMMSEが27点以下の者と,年齢と性別でマッチングさせたMMSEが28点以上の者を68名ずつ抽出し,計136名を調査対象者とした.研究参加の同意を得た対象に口腔内診査,身体機能検査,質問票調査を実施した.習慣的咀嚼運動の評価項目は,対象者に咀嚼計bitescan(シャープ)を装着した状態でおにぎり(100g)を食させた際の総咀嚼回数,完食時間とした.咀嚼能率は検査用グミゼリーによるスコア法で評価した.今回調査時のMMSEが27点以下の者を認知機能低下群(低下群),28点以上の者を認知機能健常群(健常群)とした.低下群と健常群の総咀嚼回数,完食時間をMann-Whitney U検定で比較した.さらに,従属変数を認知機能とし,説明変数を年齢,性別,Body Mass Index(BMI),手段的日常生活動作(IADL),口腔湿潤度,咀嚼能率,総咀嚼回数,オーラルディアドコキネシスとしたロジスティック回帰分析を行った(強制投入法).
【結果と考察】
研究参加に不同意の者らを除いた解析対象111名のうち,低下群は37名(平均年齢:80.6±5.8歳,男/女:16/21名),健常群は74名(平均年齢:79.4±4.5歳,男/女:26/48名)となった.総咀嚼回数の中央値は低下群で201回,健常群で248.5回,完食時間の中央値は低下群で226秒,健常群で244秒であり,2群間に統計学的有意差を認めなかった(図).ロジスティック回帰分析の結果,IADLが低いこと(p=0.040),総咀嚼回数が少ないこと(p=0.039)が認知機能低下に独立して有意に関連した(表).本研究より,日常の食事時の咀嚼回数が少ないことが認知機能の低下と関連している可能性が示された.
習慣的によく噛むことが認知機能に好影響を与えるという仮説が支持されつつあるが,既存の習慣的咀嚼運動の評価には,主観評価である質問票や瞬間的な最大咬合力などが代替として用いられてきた.そこで,本研究では咀嚼運動を直接かつ客観的に評価可能なウェアラブル型咀嚼計を用い,習慣的咀嚼運動と認知機能の関連を検討した.
【方法】
2024年6月から2025年11月に兵庫県丹波篠山圏域対象のコホート研究に参加予定の高齢者のうち,2023年までに認知機能検査のMini Mental State Exam(MMSE)が評価された者を対象とした.前回調査時のMMSEが27点以下の者と,年齢と性別でマッチングさせたMMSEが28点以上の者を68名ずつ抽出し,計136名を調査対象者とした.研究参加の同意を得た対象に口腔内診査,身体機能検査,質問票調査を実施した.習慣的咀嚼運動の評価項目は,対象者に咀嚼計bitescan(シャープ)を装着した状態でおにぎり(100g)を食させた際の総咀嚼回数,完食時間とした.咀嚼能率は検査用グミゼリーによるスコア法で評価した.今回調査時のMMSEが27点以下の者を認知機能低下群(低下群),28点以上の者を認知機能健常群(健常群)とした.低下群と健常群の総咀嚼回数,完食時間をMann-Whitney U検定で比較した.さらに,従属変数を認知機能とし,説明変数を年齢,性別,Body Mass Index(BMI),手段的日常生活動作(IADL),口腔湿潤度,咀嚼能率,総咀嚼回数,オーラルディアドコキネシスとしたロジスティック回帰分析を行った(強制投入法).
【結果と考察】
研究参加に不同意の者らを除いた解析対象111名のうち,低下群は37名(平均年齢:80.6±5.8歳,男/女:16/21名),健常群は74名(平均年齢:79.4±4.5歳,男/女:26/48名)となった.総咀嚼回数の中央値は低下群で201回,健常群で248.5回,完食時間の中央値は低下群で226秒,健常群で244秒であり,2群間に統計学的有意差を認めなかった(図).ロジスティック回帰分析の結果,IADLが低いこと(p=0.040),総咀嚼回数が少ないこと(p=0.039)が認知機能低下に独立して有意に関連した(表).本研究より,日常の食事時の咀嚼回数が少ないことが認知機能の低下と関連している可能性が示された.


