講演情報

[P-12]部分床義歯治療で金属床義歯はレジン床義歯と比較して口腔関連QOLを向上させるか:前向きコホート研究

*瀧田 美奈1、稲用 友佳1、笛木 賢治1 (1. 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 咬合機能健康科学分野)
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【目的】
 日本では保険制度の充実により,部分歯列欠損患者に対する補綴治療として部分床義歯が広く用いられ,レジン床義歯が最終義歯として選択される場合も多い.一方,金属床義歯は耐久性,装着感,歯周組織への影響の点で優れるとされているが,床材料の違いが患者の口腔健康関連QOL(OHR-QoL)に及ぼす影響については,必ずしも一貫した見解が得られていない.そこで本研究では,前向きコホートデータを用い,金属床部分床義歯とレジン床部分床義歯における義歯装着前後のOHR-QoL変化を比較した.さらに交絡因子を調整し床材料とOHR-QoL変化との関連を検討することを目的とした.
【方法】
 東京医科歯科大学歯学部附属病院において部分床義歯による補綴治療を受けた患者243名を対象とした.OHR-QoLは日本語版OHIP-49を用い,義歯装着前および装着3か月後に評価した.義歯装着前後のOHR-QoLの変化および床材料間の差を検討した.さらに,多変量解析を用いて,義歯材料,ベースラインOHIP-49スコア,年齢,性別,欠損歯数を共変量として調整し,義歯材料とOHR-QoL変化との関連を検討した.なお,金属床義歯およびレジン床義歯のいずれにおいても,フレーム材料にはCo–Cr合金を使用した.
【結果と考察】
 レジン床義歯群(n=215)および金属床義歯群(n=28)ともに,総OHIP-49スコアは義歯装着後に有意に改善した(p<0.05).改善量は金属床義歯群でより大きく,総スコアは金属床義歯群で平均16.2点,レジン床義歯群では平均10.6点低下した.金属床義歯群の改善量は,臨床的に意味のある最小重要差(MID:14点)を上回った.さらに交絡因子調整後の解析においても,金属床義歯では審美領域で有意な改善が認められた(p<0.05).金属床義歯およびレジン床義歯はいずれもOHR-QoLを改善し,金属床義歯は特に審美領域において優れた改善を示した.本研究結果から,部分床義歯における金属床義歯の選択は,患者の主観的評価に影響を及ぼす重要な要因であることが示唆された.これらの知見は,部分床義歯の治療計画立案および材料選択を行う際の臨床的判断に有用な情報を提供するものと考えられる.