講演情報

[P-130]深度センサ搭載スマートフォンを用いた咀嚼運動評価法の信頼性の検討

*福徳 朗大1、大野 彩2、大野 充昭1、下村 侑司2、大森 江3、大國 峻1、坂本 和基3、土山 雄司1、窪木 拓男1 (1. 岡山大学学術研究院 医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野、2. 岡山大学病院 新医療研究開発センター、3. 岡山大学病院 歯科・口腔インプラント科部門)
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【目的】
 咀嚼運動を客観的に評価することは,咀嚼機能低下やその経時的変化の把握において重要である.しかし,評価者や測定環境に依存せず,簡便に咀嚼運動を定量化できる方法は限られている.そこで本研究は,深度センサ搭載スマートフォンから得られる三次元顔面ランドマーク座標を用いて咀嚼運動指標を算出し,本評価法の信頼性を検討することを目的とした.
【方法】
 対象は歯の欠損および矯正装置がなく,顎関節症の既往を認めない健常成人男性8名,女性1名(平均年齢:29.8±2.6歳)とした.深度センサを搭載したスマートフォン端末(iPhone 15, Apple Inc.)を用い,各被験者につき2回の計測を行った.各試行では最大開口運動に加え,咀嚼能力測定用グミゼリー(UHA味覚糖,大阪,日本)を用いた自然咀嚼を実施し,正面から撮影を行った.撮影データから取得した座標の三次元的位置情報および時間情報から咀嚼運動波形を算出し,下顎の鉛直方向変位を指標化した.最大開口運動から得られた最大鉛直変位を最大開口振幅(MMO)とし,咀嚼時の鉛直変位をMMOで正規化し%MMOとして解析した.%MMO波形のピーク数を咀嚼回数,ピーク間隔を咀嚼周期と定義し,総咀嚼回数,咀嚼開始直後および嚥下直前を除外し,周期が連続して認められた区間(定常区間)における%MMO,咀嚼周期を算出した.指標の変動の程度を評価するため,咀嚼周期および定常区間内%MMOの変動係数(CV)を算出した.試行間信頼性はICC(2,1) で評価した.
【結果と考察】
 平均総咀嚼回数は32.9±4.1回,平均咀嚼周期は0.73±0.33秒,平均定常区間内%MMOは51.9±75.2%であった.咀嚼周期CVは0.21,定常区間内%MMOのCVは2.88であった.ICCは,総咀嚼回数で0.46,咀嚼周期で0.83,定常区間内%MMOでは0.97であった.本評価法により算出した総咀嚼回数は,試行間信頼性が相対的に低く,同一食品条件下であっても嚥下のタイミングや咀嚼終了の判断などの行動要因が一致度に影響した可能性が考えられた.また,咀嚼周期および定常区間内%MMOは高い試行間信頼性を示し,本評価法は咀嚼運動のリズムや振幅指標について,反復評価に耐えうる信頼性を有する可能性が示唆された.