講演情報

[P-153]全顎的補綴治療により下顎位が安定し下顎頭の骨添加を認めた1症例

*小田 由香里1、大和田 碧2、四ツ谷 護2、関根 秀志2、佐々木 穂高1 (1. 東京歯科大学 口腔インプラント学講座、2. 東京歯科大学 クラウンブリッジ補綴学講座)
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【緒言】
 下顎位の前方整復や矯正治療により下顎頭の骨添加(double contour)の形成が報告されている1).今回,下顎位が安定しない患者において,全顎的補綴治療を行った結果,下顎位が安定し,下顎頭に骨添加を認めたので報告する.
【症例の概要・治療内容】
 53歳女性.上顎義歯の異物感および開口時の違和感を主訴に,2022年4月に本大学付属病院口腔インプラント科に来院した.骨格性Ⅱ級,Eichner B2であった.10年ほど前より開閉口時の両側顎関節の雑音を自覚していた.初診時の開口量は40㎜であるが,開口運動時に,下顎位は半開口時に右側へ偏位しており,右側顎関節の運動障害を認めた.2022年7月のMRI検査では両側の関節円板ともに,復位性関節円板前方転位を認めた.顎位の安定を目的に,上顎はコンプリートアーチインプラント支持型固定性暫間補綴装置を装着し,全顎的な補綴治療を行なった.
【経過ならびに考察】
 インプラント支持型固定性暫間補綴装置を装着後,右側の顎関節の運動障害に伴う開口時の下顎位の偏位は改善した.また,患者自身も開口時の関節雑音の減少および,開口運動の円滑化を自覚し,満足している.2025年2月のMRI検査では,両側の関節円板ともに,復位性関節円板前方転位を呈していたものの,両側顎関節の上部には骨添加(double contour)像が観察された.今後,顎関節の状態を観察しながら最終補綴装置へ移行していく.今回,インプラント支持型固定性暫間補綴装置を装着し長期使用した結果,下顎位が安定し,下顎頭の骨添加(double contourの形成)が起こり,開口運動も改善したと考えられる.過去にSueiらは下顎頭への機能圧を排除することによりdouble contourが形成されると報告しており1),今回も同様に下顎頭の適応変化が起こったものと考えられる.
【参考文献】
1) Suei Y, Tanimoto K, Ogawa I, et al. Formation of double contour in the human mandibular condyle. A case report. Oral Surg Oral Med Oral Pathol 1994;77: 327-30.