講演情報
[P-155]重度歯周炎患者に対し口腔内スキャナーとCAD/CAMを用いて即時義歯を製作した一症例
*江戸野 大河1、大神 浩一郎1、前田 芙沙1、吉田 柊野1、上田 貴之2 (1. 東京歯科大学千葉歯科医療センター、2. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座)
【緒言】
即時義歯は抜歯後すぐに義歯を装着し,審美性や機能の維持を図るものである1).重度歯周炎患者においては,従来の印象採得で意図せず歯が抜ける可能性があるため,口腔内スキャナーによる光学印象採得は有用である.
今回我々は,重度歯周炎および義歯装着困難による咀嚼障害症例に対し,光学印象採得とCAD/CAMを用いて製作した即時義歯を用いた治療を行ったので報告する.
【症例の概要・治療内容】
68歳男性.10年前に上下顎義歯を装着したという.歯の動揺と下顎義歯が使えず物が食べれないことを主訴として当科を受診した.歯周基本検査より下顎に2〜3度の動揺,エックス線画像より歯槽骨の吸収および齲蝕を認めた.下顎は義歯装着が困難であった.以上より,重度歯周炎および義歯装着困難による咀嚼障害と診断した.下顎残存歯は保存困難と判断し,抜歯および即時義歯にて機能回復を図ることとした.下顎残存歯の動揺が顕著であったため,口腔内スキャナーを用いて即時義歯の印象採得を行うこととした.まず,動揺歯を光重合型レジンで固定し,口腔内スキャナー(TRIOS 4, 3Shape) にて光学印象採得と光学咬合採得を行った.CADソフト(3Shape Dental System, 3Shape)を用いて抜歯予定部位の修正および即時義歯の設計を行い,CAM(MillBox・DWX-53DC,Roland)にて,人工歯と義歯床をそれぞれPMMAディスク(山八歯材工業)からミリングし,2つを接着して義歯を完成させた.下顎残存歯の抜歯を行い,義歯装着を行った.
【経過ならびに考察】
義歯装着1週間後,義歯床辺縁部粘膜に傷を認めたため調整を行った.装着1か月後,義歯装着によりOHIP-54は64点から13点,フェイススケールは15/20から2/20に改善した.また,咀嚼能率は 131mg/dLであった.これらより,口腔関連QOLおよび満足度向上が認められた.これは,即時義歯による機能回復に加え,光学印象採得による意図しない抜歯の回避とCAD/CAMを用いた来院回数の少ない義歯製作によるものと考えられる.本症例のように,口腔内スキャナーとCAD/CAMを用いた即時義歯の製作は,重度歯周炎患者に対し有効な治療手段であることが示された.
【参考文献】
1)市川哲雄,大川周治ほか.無歯顎補綴治療学.第3版,277-281,医歯薬出版,東京,2018.
即時義歯は抜歯後すぐに義歯を装着し,審美性や機能の維持を図るものである1).重度歯周炎患者においては,従来の印象採得で意図せず歯が抜ける可能性があるため,口腔内スキャナーによる光学印象採得は有用である.
今回我々は,重度歯周炎および義歯装着困難による咀嚼障害症例に対し,光学印象採得とCAD/CAMを用いて製作した即時義歯を用いた治療を行ったので報告する.
【症例の概要・治療内容】
68歳男性.10年前に上下顎義歯を装着したという.歯の動揺と下顎義歯が使えず物が食べれないことを主訴として当科を受診した.歯周基本検査より下顎に2〜3度の動揺,エックス線画像より歯槽骨の吸収および齲蝕を認めた.下顎は義歯装着が困難であった.以上より,重度歯周炎および義歯装着困難による咀嚼障害と診断した.下顎残存歯は保存困難と判断し,抜歯および即時義歯にて機能回復を図ることとした.下顎残存歯の動揺が顕著であったため,口腔内スキャナーを用いて即時義歯の印象採得を行うこととした.まず,動揺歯を光重合型レジンで固定し,口腔内スキャナー(TRIOS 4, 3Shape) にて光学印象採得と光学咬合採得を行った.CADソフト(3Shape Dental System, 3Shape)を用いて抜歯予定部位の修正および即時義歯の設計を行い,CAM(MillBox・DWX-53DC,Roland)にて,人工歯と義歯床をそれぞれPMMAディスク(山八歯材工業)からミリングし,2つを接着して義歯を完成させた.下顎残存歯の抜歯を行い,義歯装着を行った.
【経過ならびに考察】
義歯装着1週間後,義歯床辺縁部粘膜に傷を認めたため調整を行った.装着1か月後,義歯装着によりOHIP-54は64点から13点,フェイススケールは15/20から2/20に改善した.また,咀嚼能率は 131mg/dLであった.これらより,口腔関連QOLおよび満足度向上が認められた.これは,即時義歯による機能回復に加え,光学印象採得による意図しない抜歯の回避とCAD/CAMを用いた来院回数の少ない義歯製作によるものと考えられる.本症例のように,口腔内スキャナーとCAD/CAMを用いた即時義歯の製作は,重度歯周炎患者に対し有効な治療手段であることが示された.
【参考文献】
1)市川哲雄,大川周治ほか.無歯顎補綴治療学.第3版,277-281,医歯薬出版,東京,2018.
