講演情報
[P-24]支台歯に対する補綴前処置としての歯髄温存療法有用性の基礎的検討
*渡邉 知恵1、辻上 陽平2、村上 奈津子3、若林 則幸3、柴田 陽1 (1. 昭和医科大学 歯学研究科 歯科理工学講座、2. 昭和医科大学 歯学研究科 歯内治療学講座、3. 東京科学大学 医歯学総合研究科 生体補綴歯科学分野)
【目的】
可撤性義歯の支台歯は通常の歯よりも生存率が低く,以前我々は喪失リスクとして失活歯が特に高い危険因子(HR ; 3.2)であり,ほとんどが歯根破折による喪失であることを報告した.昨今,歯髄温存療法(VPT)によって歯髄をあえて残すという選択が欧米で普及されている.歯髄と象牙質の間に生じる修復象牙質によってその歯を失活歯にすることから防ぐが,しかしながら修復象牙質の機械的特性は不明である.特に大きな負荷がかかる支台歯に関しては構造学的に象牙質と修復象牙質間の微小剥離が生じると歯髄の炎症を惹起し,結果的に補綴治療の成功を妨げる可能性がある.本研究では基礎的検討としてマウスモデルを用い,意図的に形成された修復象牙質の機械的特性を測定した.さらにその数値を有限要素モデルにあてはめ,咬合荷重をシミュレーションすることで,補綴前処置としてのVPTの有用性を検討した.
【方法】
6週齢の雄性のC57BL/6Jマウス45匹を使用し,無作為に3群に分けた.水酸化カルシウム製剤(Ca(OH)2),MTAセメント(MTA),プレミックスタイプバイオセラミック材料(BC)の3種類をそれぞれ使用して上顎第一臼歯に直接覆髄処置を実施した.修復象牙質の誘導期間は過去の報告に基づき4週間と設定した.ナノインデンテーション(TI 950)を用いて湿潤状態の各修復象牙質および原生象牙質の瞬間弾性係数を測定した.統計はKruskal-Wallis検定およびBonferroni補正を行った.有限要素解析では,Blender5.0を用いて下顎小臼歯モデルを作製し,MATLAB(PDE Toolbox™)を用いて構造解析を行った.
【結果と考察】
Ca(OH)2による修復象牙質の瞬間弾性係数は,原生象牙質よりも有意に低い値を示した(p < 0.05)(図).それぞれの平均値をヤング率として有限要素モデルに当てはめ,100MPaの荷重をシミュレーションしたところ,界面応力は同じ修復象牙質でも誘導される直接覆髄材料によって異なっていた.以上より,異なる材料により形成される修復象牙質の機械的特性は異なり,さらに歯に荷重がかかった場合の応力分布も異なることが明らかとなった.補綴前処置としてのVPTの有用性を示すためには,材料の選択基準の明確化を行い,界面剥離の観点からさらなる応力解析が必要である.
可撤性義歯の支台歯は通常の歯よりも生存率が低く,以前我々は喪失リスクとして失活歯が特に高い危険因子(HR ; 3.2)であり,ほとんどが歯根破折による喪失であることを報告した.昨今,歯髄温存療法(VPT)によって歯髄をあえて残すという選択が欧米で普及されている.歯髄と象牙質の間に生じる修復象牙質によってその歯を失活歯にすることから防ぐが,しかしながら修復象牙質の機械的特性は不明である.特に大きな負荷がかかる支台歯に関しては構造学的に象牙質と修復象牙質間の微小剥離が生じると歯髄の炎症を惹起し,結果的に補綴治療の成功を妨げる可能性がある.本研究では基礎的検討としてマウスモデルを用い,意図的に形成された修復象牙質の機械的特性を測定した.さらにその数値を有限要素モデルにあてはめ,咬合荷重をシミュレーションすることで,補綴前処置としてのVPTの有用性を検討した.
【方法】
6週齢の雄性のC57BL/6Jマウス45匹を使用し,無作為に3群に分けた.水酸化カルシウム製剤(Ca(OH)2),MTAセメント(MTA),プレミックスタイプバイオセラミック材料(BC)の3種類をそれぞれ使用して上顎第一臼歯に直接覆髄処置を実施した.修復象牙質の誘導期間は過去の報告に基づき4週間と設定した.ナノインデンテーション(TI 950)を用いて湿潤状態の各修復象牙質および原生象牙質の瞬間弾性係数を測定した.統計はKruskal-Wallis検定およびBonferroni補正を行った.有限要素解析では,Blender5.0を用いて下顎小臼歯モデルを作製し,MATLAB(PDE Toolbox™)を用いて構造解析を行った.
【結果と考察】
Ca(OH)2による修復象牙質の瞬間弾性係数は,原生象牙質よりも有意に低い値を示した(p < 0.05)(図).それぞれの平均値をヤング率として有限要素モデルに当てはめ,100MPaの荷重をシミュレーションしたところ,界面応力は同じ修復象牙質でも誘導される直接覆髄材料によって異なっていた.以上より,異なる材料により形成される修復象牙質の機械的特性は異なり,さらに歯に荷重がかかった場合の応力分布も異なることが明らかとなった.補綴前処置としてのVPTの有用性を示すためには,材料の選択基準の明確化を行い,界面剥離の観点からさらなる応力解析が必要である.

