講演情報

[P-30]液槽光重合製義歯床材料に新規常温重合レジンを用いて固定した金属試験片の引抜き強さ

*荒木 美汐1、松添 裕一郎1、伊東 紘世1、田坂 彰規1 (1. 東京歯科大学 パーシャルデンチャー補綴学講座)
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【目的】
 近年,液槽光重合法(VPP)を用いた3Dプリンター総義歯が保険収載され,将来的な局部床義歯への応用も期待されている.その際,VPP製の義歯床に対する支台装置の固定方法が課題となる.造形インクは患者に直接応用できないため,臨床における修理や調整では常温重合レジンの使用が必須である.一方,硬化時の発熱や刺激臭を低減する目的で,MMA含有量を抑制し患者の不快感軽減を図った新規の常温重合レジンが開発されているが,VPP製義歯床材料へ応用時の機械的強度は十分に検証されていない.そこで本研究では,VPP製レジンブロックに対するコバルトクロム合金製試料(金属試験片)の引抜き強さについて,造形インクと従来および新規の常温重合レジンで固定した条件を比較し評価することを目的とした.
【方法】
 液槽光重合法により製作したレジンブロック(10 mm×15 mm×23 mm)を用い,金属試験片(20 mm×3 mm×1 mm)を固定した.①VPP-ink:造形インク(ディーマプリントデンチャーベース,Kulzer)で固定した.②VPP-auto-uni:従来の常温重合レジン(ユニファストⅢ No.3,ジーシー)で固定した.③VPP-auto-mild:新規の常温重合レジン(プロビナイス Mild ファストタイプ 8S,松風)で固定した.以上の3条件とした(N=10).万能材料試験機を用い,クロスヘッドスピード1.5 mm/minで引抜き試験を行った.得られた引抜き強さについて一元配置分散分析(ANOVA)を行い,Tukeyの多重比較検定を用いた(有意水準5%).
【結果および考察】
 引抜き強さ(平均±SD)は,VPP-ink:621.9 ± 175.8 N,VPP-auto-uni:538.3 ± 109.3 N,VPP-auto-mild:802.4 ± 121.8 Nであった(図).ANOVAの結果,条件間に有意差が認められ(p<0.001),Tukey検定によりVPP-auto-mildは他の条件と比較して高い引抜き強さを示した(p<0.05).この要因として,新規常温重合レジンのMMA成分がVPP レジン表層に影響を及ぼし,ぬれ性が向上した可能性が考えられる.ただし,詳細な機序については今後の検討課題である.以上より,VPP義歯床材料においては,使用する常温重合レジンの種類が引抜き強さに影響を及ぼすことが示唆された.