講演情報
[P-36]日本における義歯保険請求の全国的動向と社会経済・高齢化要因との関連
*米澤 悠1、浅野 明子2、米澤 紗織1、大久保 卓也1、伊藤 凌1、小林 琢也1 (1. 岩手医科大学歯学部歯科補綴学講座、2. 岩手医科大学歯学部歯科保存学講座)
【目的】
日本は国民皆保険制度のもとで幅広い歯科治療が保険適用されており、高齢者の歯の保存率向上に寄与してきた。一方、高齢者の残存歯数は増加しているものの、高齢者人口の増加に伴い欠損補綴治療を必要とする高齢者は依然として多く、義歯治療の需要構造は変化している。近年、全部床義歯による補綴治療は減少し、部分床義歯による補綴治療が増加している可能性がある。さらに、社会経済的要因は口腔健康状態や歯科治療選択に影響を及ぼし、地域によって保険適用義歯への依存度が異なることが想定される。本研究は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用い、日本全国における義歯保険請求の経時的動向と地域差を明らかにするとともに、義歯の種類別傾向と社会経済指標および人口高齢化との関連性を検討することを目的とした。
【方法】
NDBを用いた横断的時系列分析を行い、2013年4月から2018年3月までの歯科診療報酬請求を対象とした。義歯製作に対応する処置コードから、全部床義歯および部分床義歯(欠損歯数1~4歯、5~8歯、9~11歯、12~14歯)を抽出した。主要アウトカムは歯科医院当たりの義歯請求件数とし、都道府県レベルで算出した。公的統計から得た65歳以上人口比率、一人当たり所得、一人当たりGDPを用い、義歯請求件数の年次推移、義歯の種類別構成の変化、ならびに社会経済指標および高齢化率との関連を相関分析および多変量解析により検討した。本研究は岩手医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果と考察】
歯科診療所当たりの義歯保険請求件数は全体として減少し、特に全部床義歯で顕著であった。一方、少数歯欠損の部分床義歯の構成比は増加し、義歯治療需要の質的転換が示唆された。義歯請求件数は65歳以上人口比率と正の関連を示し、人口高齢化が補綴ニーズの主要因であることが確認された。一方、都道府県別の所得およびGDPとは負の関連が認められ、社会経済的水準の高い地域では保険適用義歯への依存度が低い可能性が示された。以上より、人口動態および社会経済的背景が義歯治療提供構造を規定しており、今後の補綴医療体制および保健医療資源配分を検討する上で重要な知見が得られた。
日本は国民皆保険制度のもとで幅広い歯科治療が保険適用されており、高齢者の歯の保存率向上に寄与してきた。一方、高齢者の残存歯数は増加しているものの、高齢者人口の増加に伴い欠損補綴治療を必要とする高齢者は依然として多く、義歯治療の需要構造は変化している。近年、全部床義歯による補綴治療は減少し、部分床義歯による補綴治療が増加している可能性がある。さらに、社会経済的要因は口腔健康状態や歯科治療選択に影響を及ぼし、地域によって保険適用義歯への依存度が異なることが想定される。本研究は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用い、日本全国における義歯保険請求の経時的動向と地域差を明らかにするとともに、義歯の種類別傾向と社会経済指標および人口高齢化との関連性を検討することを目的とした。
【方法】
NDBを用いた横断的時系列分析を行い、2013年4月から2018年3月までの歯科診療報酬請求を対象とした。義歯製作に対応する処置コードから、全部床義歯および部分床義歯(欠損歯数1~4歯、5~8歯、9~11歯、12~14歯)を抽出した。主要アウトカムは歯科医院当たりの義歯請求件数とし、都道府県レベルで算出した。公的統計から得た65歳以上人口比率、一人当たり所得、一人当たりGDPを用い、義歯請求件数の年次推移、義歯の種類別構成の変化、ならびに社会経済指標および高齢化率との関連を相関分析および多変量解析により検討した。本研究は岩手医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果と考察】
歯科診療所当たりの義歯保険請求件数は全体として減少し、特に全部床義歯で顕著であった。一方、少数歯欠損の部分床義歯の構成比は増加し、義歯治療需要の質的転換が示唆された。義歯請求件数は65歳以上人口比率と正の関連を示し、人口高齢化が補綴ニーズの主要因であることが確認された。一方、都道府県別の所得およびGDPとは負の関連が認められ、社会経済的水準の高い地域では保険適用義歯への依存度が低い可能性が示された。以上より、人口動態および社会経済的背景が義歯治療提供構造を規定しており、今後の補綴医療体制および保健医療資源配分を検討する上で重要な知見が得られた。
