講演情報

[P-39]軟質リライン材が食物の圧縮強度に及ぼす影響

*荒木 厚詞1、内山 裕貴1、須賀 楓一郎1、島田 圭一郎1、山口 大輔1、木本 統1 (1. 愛知学院大学 歯学部 高齢者・在宅歯科医療学講座)
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【目的】
 近年,高齢化の進行に伴い,顎堤吸収や義歯支持粘膜の菲薄化を呈する無歯顎患者が増加し,通常の全部床義歯では快適性や機能性に問題を生じやすい症例が多い。このような患者に対し,軟質リライン材の使用は,疼痛軽減,患者満足度や咀嚼機能の向上,粘膜負担の軽減,口腔関連QOLの向上をもたらすことが報告されている1)。一方,無歯顎者は義歯を介して食品の性状を認識するため,歯床材料の物性,特に硬さの違いが食品への力の伝達に影響を及ぼす可能性があるが,十分に検討されていない。そこで本研究では,義歯床材料の物性が試験食品への圧縮力に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 試験体には熱可塑性アクリルレジン(UR)単独試験体および,UR上にシリコーン系軟質リライン材3種類(SS,MS,TM)を裏装した計4種類の義歯床材料を用いた。試験体寸法は30 mm×30 mm×4 mmとし,UR単独をコントロールとした。試験食品はグミゼリーおよびピーナッツとし,テクスチャーアナライザーを用いてクロスヘッド速度9.8 mm/minで最大圧縮力を測定した。義歯床材料の硬さはShore Aデュロメーターで評価し,統計解析には分散分析,ダネットの多重比較検定,およびピアソンの相関係数を用いた。
【結果と考察】
 グミゼリーおよびピーナッツの最大圧縮力はいずれもUR,TM,MS,SSの順で低下し,Shore A硬度も同様の傾向を示した。最大圧縮力とShore A硬度との間には,両食品において強い正の相関が認められた。また,軟質リライン材使用時の最大圧縮力の減少率は,グミゼリーよりもピーナッツで有意に大きかった。以上より,義歯床材料の硬さが食品への力の伝達に影響し,その影響は食品の種類により異なる可能性が示唆された。
【参考文献】
1) Hasegawa Y, Minakuchi H, Nishimura M, Nishio K, Yoshioka F, Ishii T, et al. Effect of soft denture liners on complete denture treatments: A systematic review. J Prosthodont Res 2024;68(4):493-510.