講演情報
[P-44]老化促進マウスの歯の喪失による認知機能低下に対するスペルミジンの影響
*荻野 貴嗣1、大上 博史1、畠山 理恵1、石田 えり1、横井 美有希2、津賀 一弘1 (1. 広島大学病院、2. 藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座)
【目的】
近年,腸内細菌叢が中枢神経機能や行動に影響を及ぼす可能性が示されており,認知機能との関連についても注目されている1).また,マウスを用いた動物実験においても,歯の喪失が認知機能低下を引き起こすことが報告されている2)もののそのメカニズムは未だ不明な点が多い.ポリアミンの一種であるスペルミジンはオートファジーを誘導し認知機能を改善することが報告されている.しかしながら歯の喪失による認知機能の低下に対してスペルミジンを投与した場合の影響は不明である.そこで本研究では,老化促進マウスを用いて実験的な歯の喪失による認知機能の低下がスペルミジンの経口投与により改善するか明らかにすることを目的とした.
【方法】
実験動物には2カ月齢雄性SAMP8マウス(30匹)を用いた.全身麻酔下にて上顎両側臼歯を抜歯した群(抜歯群),麻酔のみ実施した群(対照群),抜歯群にスペルミジン(3mM)を混和し自由摂取させた群(スペルミジン投与群)の3群に分けた.また,各群より糞便を採取し,16S rRNA 遺伝子シーケンス解析を用いて腸内細菌叢構成を評価した.
【結果と考察】
新規物体認識率において,抜歯群は対照群と比較して低下したが,スペルミジン投与群では対照群と同等の値を示した(図1).腸内細菌叢解析では,α多様性指標のうちChao1およびObserved featuresが抜歯群で低下し,スペルミジン投与群で回復した.一方,均等性および系統多様性を反映する指標では完全な回復は認められなかった.本研究において,スペルミジン投与により認知機能低下の改善が認められたことから,歯の喪失によって生じる認知機能変化に対して,スペルミジンが一定の保護的作用を有する可能性が示唆された.
【参考文献】
1)Cryan JF, Dinan TG. Mind-altering microorganisms: the impact of the gut microbiota on brain and behaviour. Nat Rev Neurosci. 2012 Oct;13(10):701-12.
2) Nakamura T, Zou K, Shibuya Y, Michikawa M. Oral dysfunctions and cognitive impairment/dementia. J Neurosci Res 2021; 99(2): 518-528.
近年,腸内細菌叢が中枢神経機能や行動に影響を及ぼす可能性が示されており,認知機能との関連についても注目されている1).また,マウスを用いた動物実験においても,歯の喪失が認知機能低下を引き起こすことが報告されている2)もののそのメカニズムは未だ不明な点が多い.ポリアミンの一種であるスペルミジンはオートファジーを誘導し認知機能を改善することが報告されている.しかしながら歯の喪失による認知機能の低下に対してスペルミジンを投与した場合の影響は不明である.そこで本研究では,老化促進マウスを用いて実験的な歯の喪失による認知機能の低下がスペルミジンの経口投与により改善するか明らかにすることを目的とした.
【方法】
実験動物には2カ月齢雄性SAMP8マウス(30匹)を用いた.全身麻酔下にて上顎両側臼歯を抜歯した群(抜歯群),麻酔のみ実施した群(対照群),抜歯群にスペルミジン(3mM)を混和し自由摂取させた群(スペルミジン投与群)の3群に分けた.また,各群より糞便を採取し,16S rRNA 遺伝子シーケンス解析を用いて腸内細菌叢構成を評価した.
【結果と考察】
新規物体認識率において,抜歯群は対照群と比較して低下したが,スペルミジン投与群では対照群と同等の値を示した(図1).腸内細菌叢解析では,α多様性指標のうちChao1およびObserved featuresが抜歯群で低下し,スペルミジン投与群で回復した.一方,均等性および系統多様性を反映する指標では完全な回復は認められなかった.本研究において,スペルミジン投与により認知機能低下の改善が認められたことから,歯の喪失によって生じる認知機能変化に対して,スペルミジンが一定の保護的作用を有する可能性が示唆された.
【参考文献】
1)Cryan JF, Dinan TG. Mind-altering microorganisms: the impact of the gut microbiota on brain and behaviour. Nat Rev Neurosci. 2012 Oct;13(10):701-12.
2) Nakamura T, Zou K, Shibuya Y, Michikawa M. Oral dysfunctions and cognitive impairment/dementia. J Neurosci Res 2021; 99(2): 518-528.

