講演情報
[P-63]Nd:YAGレーザー照射がPEEKと前装用硬質レジンのせん断接着強さに及ぼす影響
*佐々木 圭太1、小島 勘太郎1、河村 昇2、木原 琢也1、井川 知子1、積田 光由1、重田 優子1、小川 匠1 (1. 鶴見大学歯学部クラウンブリッジ補綴学講座、2. 鶴見大学歯学部歯科技工研修科)
【目的】
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は,高い機械的強度,耐食性および生体親和性を有し,補綴装置への応用が期待される.しかし,PEEKは低表面エネルギーであり接着性に乏しく,硬質レジン前装を行う際には適切な接着前処理が不可欠である.本研究では,PEEKに対する前装用硬質レジンの接着強さ向上を目的として,Nd:YAGレーザー照射を含む複数の表面処理を行い,そのせん断接着強さを評価し,臨床応用の可能性を検討した.
【方法】
被着体としてPEEKブロックを精密切断機で切断した.耐水研磨紙にて注水研磨したものを試験体とした.表面処理は,サンドブラスト処理,接着性プライマー,オペークの塗布,およびこれらを組み合わせた群,さらにNd:YAGレーザー照射は、①(0.7W, 4.5Hz, スポット径0.8mm, 31.9J/cm²)および②(5.0W, 2.0Hz, スポット径1.0mm, 317.2J/cm²)の2条件を設定し、照射時間は30秒とした(表1).各表面処理後,固定治具を用いて,前装用コンポジットレジンを積層充填し,光重合を行った.24時間乾燥保存後,サーマルサイクル(5 ℃/55 ℃,各30 s,5,000回)を負荷した.その後,万能試験機にてせん断接着試験を行い(n=10),得られた値について,一元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定により有意差を評価した(p < 0.05).
【結果と考察】
せん断接着強さの結果を図1に示す.LA1群が全条件の中で最大値を示し,他のすべての群と比較して有意に高い値を示した(p < 0.05).本研究の結果,適切な条件でのNd:YAGレーザー照射は,PEEK表面のぬれ性の改善および表面粗さの増加に伴う投錨効果をもたらし,接着強さを有意に向上させることが示唆された.一方で,一部の照射条件ではレーザーパワーが過剰となり,PEEK表面の炭素化や脆弱層の形成を招いたと考えられる.この炭素化により表面エネルギーが低下し,接着性プライマーとの化学的結合が阻害されたことが,接着強さの向上を妨げた一因と推察される.以上より,PEEKの前装においてレーザー照射を応用する際は,被着面の変質を回避しつつ接着に有効な表面性状を得るための,適切な出力および照射時間の選定が重要であることが明らかとなった.
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は,高い機械的強度,耐食性および生体親和性を有し,補綴装置への応用が期待される.しかし,PEEKは低表面エネルギーであり接着性に乏しく,硬質レジン前装を行う際には適切な接着前処理が不可欠である.本研究では,PEEKに対する前装用硬質レジンの接着強さ向上を目的として,Nd:YAGレーザー照射を含む複数の表面処理を行い,そのせん断接着強さを評価し,臨床応用の可能性を検討した.
【方法】
被着体としてPEEKブロックを精密切断機で切断した.耐水研磨紙にて注水研磨したものを試験体とした.表面処理は,サンドブラスト処理,接着性プライマー,オペークの塗布,およびこれらを組み合わせた群,さらにNd:YAGレーザー照射は、①(0.7W, 4.5Hz, スポット径0.8mm, 31.9J/cm²)および②(5.0W, 2.0Hz, スポット径1.0mm, 317.2J/cm²)の2条件を設定し、照射時間は30秒とした(表1).各表面処理後,固定治具を用いて,前装用コンポジットレジンを積層充填し,光重合を行った.24時間乾燥保存後,サーマルサイクル(5 ℃/55 ℃,各30 s,5,000回)を負荷した.その後,万能試験機にてせん断接着試験を行い(n=10),得られた値について,一元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定により有意差を評価した(p < 0.05).
【結果と考察】
せん断接着強さの結果を図1に示す.LA1群が全条件の中で最大値を示し,他のすべての群と比較して有意に高い値を示した(p < 0.05).本研究の結果,適切な条件でのNd:YAGレーザー照射は,PEEK表面のぬれ性の改善および表面粗さの増加に伴う投錨効果をもたらし,接着強さを有意に向上させることが示唆された.一方で,一部の照射条件ではレーザーパワーが過剰となり,PEEK表面の炭素化や脆弱層の形成を招いたと考えられる.この炭素化により表面エネルギーが低下し,接着性プライマーとの化学的結合が阻害されたことが,接着強さの向上を妨げた一因と推察される.以上より,PEEKの前装においてレーザー照射を応用する際は,被着面の変質を回避しつつ接着に有効な表面性状を得るための,適切な出力および照射時間の選定が重要であることが明らかとなった.


