講演情報
[P-66]歯冠修復材料の二体摩耗試験における表面分析
*澤田 智史1,2、小山田 勇太郎3、畑中 昭彦2、武本 真治2 (1. 朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科理工学分野、2. 岩手医科大学医療工学講座、3. 岩手医科大学歯学部歯科補綴学講座冠橋義歯・口腔インプラント学分野)
【目的】
歯冠補綴装置は口腔内装着後に咬合や咀嚼により機能や形態が変化していく.我々はこれまでに基礎的研究でセラミックスの表面仕上げの違いが摩耗挙動に与える影響について報告をしてきた1).本研究では二体摩耗試験後の歯冠修復材料および対合エナメル質の摩耗痕の表面分析を検討した.
【方法】
二体摩耗試験は平坦な牛歯エナメル質に対してジルコニア3種(3Y, 4Y, 5Y),二ケイ酸リチウム3種(EM,T,AM)で製作したクラウンモデル(n=16)を5万回往復滑走させて実施した(室温,水中下,負荷荷重4.9 N,周波数3.47Hz,ストローク幅5 mm).クラウンモデルの表面仕上げはダイヤモンドペーストによる鏡面研磨仕上げ群(P群)とグレーズ仕上げ群(G群)とした.
各試料の摩耗痕の表面粗さはレーザー顕微鏡(OPTELICS HYBRID+, レーザーテック)で測定した.また,一部の試料は電子プローブマイクロアナライザ(JXA-8530F,日本電子)を用いてマッピング分析を行った.統計処理はウェルチの一元配置分散分析とテューキーの多重比較検定を用いた.
【結果と考察】
表面粗さはジルコニア,二ケイ酸リチウム共にG群で有意に増大した(p<0.05).また,ジルコニアはP群で二ケイ酸リチウム(TP以外)よりも有意に増大した(p<0.05). 対合エナメル質では材料を問わずに表面粗さは有意に増大した(p<0.05). ジルコニアの対合エナメル質では表面仕上げによる影響は認められなかった.一方で,二ケイ酸リチウムではG群内と一部のP群で有意差が認められた(p<0.05).
表面分析はジルコニアでは種類を問わずにG群ではグレーズ材の剝離を認め,P群よりも摩耗が進行していた.また,対合エナメル質もP群よりもG群で粗造で鮮明な摩耗痕が観察された.二ケイ酸リチウムは種類を問わずジルコニアよりも摩耗痕は粗造となり,G群でより鮮明であった.さらに,対合エナメル質の摩耗痕から二ケイ酸リチウム由来のSiが検出された.以上の結果から,二ケイ酸リチウムの摩耗ではエナメル質にその摩耗粉が迷入することで,摩耗が促進される可能性が示唆された.
【参考文献】
1) 澤田智史,小山田勇太郎,畑中昭彦 他.ジルコニアや二ケイ酸リチウムの表面仕上げの違いが摩耗挙動に与える影響.日補綴会誌 2025;17特別号:248.
歯冠補綴装置は口腔内装着後に咬合や咀嚼により機能や形態が変化していく.我々はこれまでに基礎的研究でセラミックスの表面仕上げの違いが摩耗挙動に与える影響について報告をしてきた1).本研究では二体摩耗試験後の歯冠修復材料および対合エナメル質の摩耗痕の表面分析を検討した.
【方法】
二体摩耗試験は平坦な牛歯エナメル質に対してジルコニア3種(3Y, 4Y, 5Y),二ケイ酸リチウム3種(EM,T,AM)で製作したクラウンモデル(n=16)を5万回往復滑走させて実施した(室温,水中下,負荷荷重4.9 N,周波数3.47Hz,ストローク幅5 mm).クラウンモデルの表面仕上げはダイヤモンドペーストによる鏡面研磨仕上げ群(P群)とグレーズ仕上げ群(G群)とした.
各試料の摩耗痕の表面粗さはレーザー顕微鏡(OPTELICS HYBRID+, レーザーテック)で測定した.また,一部の試料は電子プローブマイクロアナライザ(JXA-8530F,日本電子)を用いてマッピング分析を行った.統計処理はウェルチの一元配置分散分析とテューキーの多重比較検定を用いた.
【結果と考察】
表面粗さはジルコニア,二ケイ酸リチウム共にG群で有意に増大した(p<0.05).また,ジルコニアはP群で二ケイ酸リチウム(TP以外)よりも有意に増大した(p<0.05). 対合エナメル質では材料を問わずに表面粗さは有意に増大した(p<0.05). ジルコニアの対合エナメル質では表面仕上げによる影響は認められなかった.一方で,二ケイ酸リチウムではG群内と一部のP群で有意差が認められた(p<0.05).
表面分析はジルコニアでは種類を問わずにG群ではグレーズ材の剝離を認め,P群よりも摩耗が進行していた.また,対合エナメル質もP群よりもG群で粗造で鮮明な摩耗痕が観察された.二ケイ酸リチウムは種類を問わずジルコニアよりも摩耗痕は粗造となり,G群でより鮮明であった.さらに,対合エナメル質の摩耗痕から二ケイ酸リチウム由来のSiが検出された.以上の結果から,二ケイ酸リチウムの摩耗ではエナメル質にその摩耗粉が迷入することで,摩耗が促進される可能性が示唆された.
【参考文献】
1) 澤田智史,小山田勇太郎,畑中昭彦 他.ジルコニアや二ケイ酸リチウムの表面仕上げの違いが摩耗挙動に与える影響.日補綴会誌 2025;17特別号:248.
