講演情報

[P-70]耐摩耗性を向上させた改良型PEEK製CAD/CAM冠材料の開発

*加藤 真康1、安部倉 仁1、森田 晃司1、横井 美有希2、西尾 文子3、梅原 華子1、香川 和子1、土井 一矢1、津賀 一弘1 (1. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学、2. 藤田医科大学医学部歯科・口腔外科学講座歯科部門、3. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科咬合機能補綴学分野)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【目的】PEEK冠は咀嚼機能の回復や患者満足度において良好な臨床評価を得ている一方で,2年以上の長期使用では耐摩耗性および審美性に課題があることが報告されている1).本研究の目的は,PEEK基材にガラスフィラーを添加することにより,機械的特性を維持しつつ耐摩耗性を向上させた改良型PEEK製CAD/CAM冠材料を開発することである. 【方法】PEEK基材(L4000G,ポリプラ・エボニック株式会社,東京)にガラスフィラーを10,20,30 wt%添加した3種類の試作材料(開発材①〜③)を作製した.対照材料には現行デンタルグレードPEEK(DC4450G,ポリプラ・エボニック株式会社,東京)を用いた. 実験1(物性評価): 各材料についてダンベル状試料を作製し,引張試験,曲げ試験およびビッカース硬度試験を実施した. 実験2(摩耗試験): 短冊状試料を用い,歯ブラシ摩耗試験(荷重280g,往復速度120回/分)を3万回および6万回実施し,摩耗重量を測定した. 【結果と考察】物性評価:フィラー添加量の増加に伴い,引張弾性率(4160〜5450 MPa)および曲げ弾性率(4370〜5850 MPa)は上昇した.一方で,引張強度の著しい低下は認められず,機械的特性は概ね維持されていた.ビッカース硬度は開発材で26.9〜27.8を示し、現行材(26.2)と同等以上であった. 耐摩耗性:すべての開発材において現行材よりも摩耗重量が小さかった.6万回往復後の摩耗重量は,現行材9.2 mgに対し,開発材では4.2〜6.1 mgであった. ガラスフィラーの添加はPEEK材料の耐摩耗性向上に有効であることが示唆された.一方で,フィラー添加量の増加に伴い摩耗重量の増加(10 wt%:4.2 mg ,30 wt%:6.1 mg)が認められたことから,耐摩耗性向上のためには過度な添加は必ずしも有利ではなく,最適な添加量の設定が重要であると考えられた。【参考文献】1) Yokoi M, Abekura H, Kagawa K, et al. Comparison of clinical outcomes of polyetheretherketone and hybrid resin crowns placed on molars for over two years. Sci Rep. 2025;15(1):15627.