講演情報

[P-74]唇顎口蓋裂患者に対する歯科インプラント治療に関する後ろ向き研究

*庄原 健太1,2、互野 亮3,4、小山 重人1,3、依田 信裕1,2 (1. 東北大学病院 歯科インプラントセンター、2. 東北大学大学院歯学研究科 口腔システム補綴学分野、3. 東北大学病院 顎顔面口腔再建治療部、4. 東北大学大学院歯学研究科 分子・再生歯科補綴学分野)
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【目的】
 唇顎口蓋裂患者の欠損歯列に対するインプラント治療は,咀嚼能力や審美性などの機能回復に有効である.しかし,顎裂部の硬・軟組織はインプラント治療に適さないため,治療方針の決定に難渋する1).本研究は,インプラント治療を行った唇顎口蓋裂患者において,口腔内状態や治療内容・経過について後ろ向きに調査し,適切な治療計画立案に寄与する知見を検索することを目的とした.
【方法】
 2012年4月から2025年12月までに,当院歯科インプラントセンターにてインプラント治療を適用した唇顎口蓋裂患者14名,18本のインプラントを対象とした.対象患者において,年齢,術前の欠損歯列状態,インプラント埋入部位,および埋入前の骨造成の実施状況などについて診療録から後ろ向きに調査した.本研究は東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会の承認のもと実施した(承認番号35087号).
【結果と考察】
 顎裂部へインプラントを埋入した症例は,顎裂部以外へ埋入した症例と比較して埋入時年齢が有意に低かった.顎裂部へインプラントを埋入するために骨造成を実施した症例は,実施しなかった症例と比べて埋入時年齢が高い傾向であった.若年層の唇顎口蓋裂患者においては,顎裂部への移植骨が保全されており,またインプラント治療を見据えた矯正歯科治療計画が立案されていたため,埋入時の追加骨造成を必要としない症例が多かった.本研究により,唇顎口蓋裂患者においては,矯正歯科治療終了時にインプラント治療を行うことで,顎裂部の移植骨の骨量が維持されているため,追加骨造成を必要とせずインプラント治療が実現できることが示された.一方,矯正歯科治療終了から経過が長くなるほど,欠損部の補綴スペースの変化や顎裂骨移植部の骨吸収などにより,ブリッジ治療,あるいは骨造成を併用したインプラント治療といった前者に比較して侵襲の高い治療が必要となることが示された.唇顎口蓋裂患者に対しては,矯正歯科医,口腔外科医,補綴科医などが連携し,矯正歯科治療の計画段階からインプラント治療を想定した包括的な治療計画の立案が重要であることが示唆された.
【参考文献】
1) 庄原健太,互野亮,小山重人ほか.唇顎口蓋裂患者への歯科インプラント治療に関する実態調査.東北大歯誌 2024;43:1-7.