講演情報

[P-82]咬合不正により誘発される認知機能低下作用へのオキシトシン投与効果

*関 貴良史1,2、前芝 宗尚1,2、北條 朋子1、後藤 加寿子3、都築 尊1 (1. 福岡歯科大学 咬合修復学講座 有床義歯学分野、2. 福岡歯科大学 口腔医学研究センター、3. 福岡医療短期大学 歯科衛生学科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【目的】
 オキシトシン(OXT)は、経鼻投与により認知機能の低下を改善することが報告されている。またOXTはミクログリアの活性化を抑制し、神経炎症を抑制することが報告されている。我々は、過剰咬合による咬合不正がIL-1βの発現を上昇させ、認知能低下を誘発することを報告した。しかしながら、咬合不正による認知能低下に対するOXTの効果は不明である。そこで、家族性アルツハイマー型認知症病変異を加えたモデルマウス(ADマウス)を用い、歯の喪失による認知能低下に対するOXTの効果について調べた。
【方法】
 ADマウス2ヶ月齢、4ヶ月齢、6ヶ月齢を用いて抜歯モデルマウスを作成後、マウスを無処置(コントロール)群、抜歯群、抜歯後OXT短期経鼻投与群に分け、認知能を行動科学的試験にて評価した。SIM-A9マウスミクログリア細胞を無処置(コントロール)群とIL-1β投与群とIL-1βとOXT同時投与群に分け、OXT受容体、APPやリン酸化Tau等のアルツハイマー型認知症関連分子の発現変化について調べた。ADマウスの血清および海馬を用いて、OXTの発現、アルツハイマー型認知症関連分子の発現変化について調べた。
【結果と考察】
 ADマウスの血清および海馬でOXT発現は加齢に従い減少したが、OXT受容体やアルツハイマー型認知症関連分子の発現は逆に増加した。SIM-A9において、IL-1β投与によりアルツハイマー型認知症関連分子の発現は増加し、OXT同時投与により増加が抑制された。ADマウスの抜歯により認知能は低下したが、OXT経鼻投与により一過性に認知能低下が抑制された。従って、ADマウスでは抜歯により認知機能は低下したが、OXT経鼻投与により回復傾向を示した。この傾向には海馬のマウスミクログリア細胞が関与している可能性が示唆された。