講演情報

[P-85]睡眠時ブラキシズムhiPSC由来神経細胞とMEAを用いた電気生理学的表現型検出方法の確立

*大西 麻由1、山口 昂大2、安部 友佳1、藤島 美穂3、佐藤 太朗3、赤松 和土2、馬場 一美3 (1. 昭和医科大学歯学部歯科補綴学講座歯科補綴学部門、2. 順天堂大学大学院医学研究科ゲノム・再生医療センター、3. 昭和医科大学大学院歯学研究科歯科補綴学分野)
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【目的】
 睡眠時ブラキシズム(SB)では,脳幹GABA作動性神経細胞による抑制性調節異常の関与が示唆されている.先行研究1)でパッチクランプ法によりSB患者由来ヒト人工多能性幹細胞(hiPSCs)から分化した神経細胞において興奮性の増加が報告されているが,神経活動抑制との関連は十分に検討されていない.また,パッチクランプ法は1細胞レベルでの電気活動の検出に適している一方で,神経ネットワークの解析や多検体を用いた大規模な表現型解析には不適である.本研究では,SB患者hiPSC由来神経細胞の電気生理学的表現型を定量的かつハイスループットに評価可能な多電極アレイ(MEA)プラットフォームの確立を目的とした.
【方法】
 SB患者3名と健常対照者(CTRL)3名から樹立したhiPSCsを後脳腹側領域の神経細胞へ分化誘導した.免疫染色によりTUBB3およびGAD1/2陽性細胞を定量し,GABA作動性神経細胞の分化効率を評価した.自発発火はMEAを用いて定常状態および培地交換直後に測定し,加重平均発火率(wMFR)を算出した.培地中の細胞外GABA濃度はELISA法を用いて定量した.これらの指標をSB群とCTRL群の2群で比較した.
【結果と考察】
 GABA作動性神経細胞への分化効率は細胞株間で有意な差を認めず,いずれも85%以上と高率であった.定常状態では,wMFRに群間差は認められなかった.SB群では細胞外GABA濃度がCTRL群に比べ有意に高値を示し,培地交換によりGABAを除去するとSB群でwMFRの有意な増加が認められた.これらの結果から,SB患者由来神経細胞は潜在的な過興奮性を有する一方,GABAの過剰分泌により通常の培養環境ではその表現型がマスクされている可能性が示唆された.
 本研究ではSBに関連する電気生理学的表現型を定量的に評価可能なMEAプラットフォームの確立に成功し,SBの病態解明および治療標的の探索に有用であると考えられる.
【参考文献】
1) Sarkar AK, Nakamura S, Nakai K, et al. Increased excitability of human iPSC-derived neurons in HTR2A variant-related sleep bruxism. Stem Cell Res. 2022;59:102658.