講演情報

[P-93(E)]低侵襲インプラント埋入窩洞形成を実現するDLCドリル

*Ochoa Dagny1、江口 香里1、秋葉 奈美1、秋葉 陽介1、藤井 規孝1 (1. 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 口腔生命科学専攻 口腔健康科学講座 生体歯科補綴学分野)
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【目的】
インプラント治療の長期的成功にはオッセオインテグレーションの確立が不可欠である¹。近年、インプラント体表面の改質やデジタル技術を活用した高精度治療が進展している一方、インプラント治療において埋入窩洞形成に用いるドリル自体の生物学的影響は十分に検討されていない。インプラント埋入窩洞形成は骨治癒環境を規定する生物学的に決定的な工程であることから²、本研究では歯科材料学的アプローチとしてダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施したステンレス鋼ドリルを開発し、ドリル摩耗、初期骨治癒およびインプラント安定性に及ぼす影響を生物学的観点から検討した。
【方法】
4週齢SDラット上顎第一・第二大臼歯を抜歯し、4週間の治癒後にインプラント埋入を行った。新品および10回再使用したDLCコーティングドリルと非コーティングステンレス鋼ドリルを用い(各群n=6)、走査電子顕微鏡によりドリル表面および埋入窩洞骨表面性状を評価した。術後0〜42日に逆トルク試験によりインプラント安定性を測定し、TRAP染色による破骨細胞活性評価、マクロファージ極性(M1/M2)、RUNX2およびオステオカルシンの免疫組織化学的解析を行った。
【結果と考察】
ステンレス鋼ドリルは再使用に伴い顕著な摩耗と構造劣化を示したのに対し、DLCコーティングドリルは10回再使用後も良好な表面性状を維持した。DLC群では骨梁形成の促進、破骨細胞活性の抑制、M2優位の免疫環境形成が認められ、RUNX2発現は早期に増強し、オステオカルシンは21日でピークを示した。逆トルク値はDLC群で早期に回復し、非コーティング群と比較して約半分の期間で安定性に到達した。これらの結果は、DLCコーティングドリルが再使用条件下においても低侵襲なインプラント埋入窩洞形成を可能とし、骨免疫応答を含む生物学的治癒過程を制御することで、インプラント安定性の早期獲得に寄与することを示唆する。本研究は、インプラント窩洞形成を単なる機械的操作ではなく、高品質な補綴治療を支える生物学的に制御されたSmart prosthodonticsの一工程として再定義するものである。
【参考文献】
1.Albrektsson T, et al. Osseointegrated titanium implants. Acta Orthop Scand 1981;52:155–170.