講演情報

[P-96]フルバスタチンはマクロファージ極性を変化させ薬剤関連顎骨壊死の治癒を促進する

*田﨑 萌亜1、三田 公麿1、鮎川 保則1 (1. 九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座インプラント・義歯補綴学分野)
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【目的】
 骨吸収抑制薬の投与後に発症する薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の詳しい発症メカニズムは十分に解明されておらず,根治的な治療法がないのが現状である.我々は,脂質異常症治療薬であるスタチンの多面的作用に着目し,スタチンの投与がMRONJ様症状の治癒を促進することを報告1)してきたが,その作用機序は未だ解明されていない.そこで本研究では,MRONJ 様症状に対するフルバスタチン(FS)投与が、マクロファージ(Mφ)極性に対してどのように寄与するのかを明らかにすることを目的とした.
【方法】
 4週齢雌性Wistarラットにビスホスホネート製剤(BP)およびデキサメタゾン(DEX)を週3回皮下投与し,投与開始2週後に上顎第一臼歯を抜去した.抜歯2週後にMRONJ様症状を呈したラットに対し,発症部位近傍にFS(10 mg/kg)を投与した群をBP+FS群(n=7),生理食塩水を投与した群をBP群(n=7)とした.さらに,BPおよびDEXの代わりに生理食塩水を投与し,抜歯窩近傍にも生理食塩水を投与した群をSaline群(n=7)とした.FSまたは生理食塩水投与2週後に評価を行った.
【結果と考察】
 Saline群ではすべてのラットで上皮封鎖および新生骨形成が認められた.BP+FS群ではBP群と比較して,上皮間距離,骨露出距離および壊死骨面積が有意に小さかった.破骨細胞数はBP群と比較して,BP+FS群およびSaline群の方が有意に多かった.M1Mφ数はBP群が有意に多かったのに対し,BP+FS群ではM2Mφ数が有意に多く,M2/M1比が有意に大きかった.FS投与によって,炎症誘発型であるM1Mφに対し抗炎症型であるM2Mφが優位となるM2/M1比のアップレギュレーションが起こり,MRONJ様症状における壊死骨の吸収および組織修復が促進されたと考えられる.以上より,FSの局所単回投与はMRONJに対する新規治療法となり得る可能性が示唆された.
【参考文献】
1)Sanda K, Ayukawa Y, Yasunami N, et al. Therapeutic effect of fluvastatin on medication-related osteonecrosis of the jaw. J Periodontol 2022;93:837-46