講演情報

[P-97]マウス歯周組織におけるDermatopontinの局在とその加齢変化

*土橋 梓1、ライン ピュインピュ1、小林 水輝1、小野 喜樹1、加来 賢1 (1. 新潟大学大学院医歯学総合研究科生体歯科補綴学分野)
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【目的】歯根膜は咬合力に対する緩衝能や知覚機能を担うことから咀嚼機能に重要であり,健全な歯根膜の維持は,補綴治療の長期的予後に大きく関与する.歯根膜は主として歯根膜細胞と細胞外マトリックス(ECM)から構成され,なかでもECMは組織の機械的特性や細胞機能に能動的に影響を及ぼしている.これまで,タンパク組成を含む歯根膜ECMの詳細は未解明であったが,我々は難溶性のECMに特化したプロテオーム解析法を用いることで,ヒト歯根膜のECM組成を初めて明らかにすることに成功した(Thant, Dobashi, et al. Mol Cell Proteomics. 2025).その結果,ヒト歯根膜においてはコラーゲンがECMの80%以上を占めており,非コラーゲン性のタンパクとして1位にPeriostin(Postn),2位にDermatopontin(DPT)が検出された.歯根膜におけるPostnについては数多くの報告がある一方,DPTの局在や機能については十分に解明されていない.そこで本研究では,マウス歯周組織におけるDPTの局在とその加齢変化を組織学的に明らかにすることを目的とした.
【方法】 野生型マウス(C57BL/6J,雄性,5,12,32週齢)から,上顎歯周組織のパラフィン組織標本を作製し,免疫組織化学染色によりDPTの局在と加齢変化を解析した.
【結果と考察】 マウス歯周組織において,DPTはいずれの週齢においても歯根膜組織に一様に分布していただけでなく,歯槽骨に埋め込まれたシャーピー線維と歯根膜に近い領域の層板骨構造に沿って強い染色が観察された.加えて32週齢では,歯槽骨の深層においても強い染色が認められた.先行研究において,培養条件下のヒト歯根膜細胞では,骨芽細胞分化の過程でDPTの発現が増加し,石灰化に対して促進的に作用することが報告されている.また,DPT-knock outマウスでは,皮膚においてコラーゲン線維の形態異常や弾性率の低下が報告されている.これらの結果より,DPTは歯根膜組織の維持と加齢に伴うリモデリングにおいて重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Thant L, Dobashi A, Kitami M et al. Mol Cell Proteomics. 2025; 24(12):101460.