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[課題2]変形性顎関節症の発症に関与する遺伝因子の細胞生物学的検討

*大野 恵美1、大野 誠之2,3、髙岡 亮太1、植田 陽1、森岡 詞音1、山本 梨絵1、西村 正宏1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科 再生歯科補綴学講座、2. 大阪大学大学院歯学研究科 微生物学講座、3. 大阪大学大学院歯学研究科 バイオインフォマティクス研究ユニット)
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【目的】
四肢変形性関節症(OA)では遺伝因子の関連が報告されてきたが,変形性顎関節症(TMJOA)に関するゲノム研究は限定的である.本研究では,OAで報告された一塩基多型(SNP)がTMJOAにも共通して関与するとの仮説のもと,TMJOA関連SNPの同定とその分子機構の解明を目的とした.
【方法】
顎関節症患者354例(TMJOA群158例,非TMJOA群196例)に対し,年齢,性別,円板動態異常およびOA関連SNP16種1)を説明変数とした多変量解析を行った.病態と関連したSNPについて共起変異の探索およびin silico機能予測を実施したのち,候補変異をプライム編集によりHEK293T細胞へ導入し(図1),EMSA,発現量解析,オミクス解析により細胞生物学的検討を行った.
【結果と考察】
多変量解析の結果,FILIP1SENP6遺伝子間のSNPがTMJOAと有意に関連し,その共起変異の一つrs9343292は転写因子BHLHE40の結合を促進するとin silico予測により示唆された.EMSAでは,BHLHE40は変異配列により結合した.rs9343292変異導入細胞では,SENP6等の近傍6遺伝子の発現上昇を認めた.さらに,RNA-seqにおいてSENP6関連クロマチン制御経路が亢進していたため,ATAC-seqを実施した.その結果,変異導入細胞ではOAと関連するスフィンゴ脂質シグナル経路に属する遺伝子群の発現とクロマチンアクセシビリティが共に低下していた(図2).以上より,TMJOA関連SNPの共起変異rs9343292は転写因子との結合親和性の変化を通じて近傍遺伝子の発現を上昇させ,クロマチン構造の変化からゲノムワイドな発現変動を生じ,OAの疾患感受性に影響すると示唆された.OAで報告されたSNPの共起変異がTMJOAにも関与し,TMJOA発症のリスクマーカーとなる可能性が本研究で示された.
【参考文献】
1) Zeggini E, Panoutsopoulou K, Southam L, et al., Identification of new susceptibility loci for osteoarthritis (arcOGEN): a genome-wide association study. Lancet. 2012.