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[課題5]大規模レセプトデータを用いた高齢者の現在歯数・機能歯数と新規骨折発生のリスク解析

*土山 雄司1、大野 彩2、下村 侑司2、大森 江3、大國 峻1、坂本 和基3、福徳 朗大1、大野 充昭1、窪木 拓男1 (1. 岡山大学学術研究院 医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野、2. 岡山大学病院 新医療研究開発センター、3. 岡山大学病院 歯科・口腔インプラント科部門)
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【目的】
 高齢者の骨折は要介護化の主要因であり,予防のための新たなリスク指標が求められている.近年,歯数や咬合支持が栄養不良,バランス機能低下などを介して骨折リスクと関連する可能性が注目されているが,日本人の大規模集団において検証された研究は限られている.そこで本研究は,日本人高齢者の大規模レセプトデータを用い,現在歯数および機能歯数と新規骨折発生リスクとの関連を検証することを目的とした.

【方法】
 商業的に入手可能なDeSCデータベース(DeSC Healthcare, Inc.)を用いた後ろ向きコホート研究を行った.2018年9月〜2019年8月に受診歴を有する65歳以上で,6ヶ月のベースライン(BL)期間に骨折既往のない者を対象とした.代謝性骨疾患,骨・軟骨腫瘍,脳血管疾患を有する者,歯科受診データまたは健診・問診データがない者は除外した.曝露要因はBL期間の歯科受診データから算出した現在歯数および機能歯数とし,20歯以上,10〜19歯,0〜9歯の3群に分類した.2024年1月まで追跡し,ICD‐10コードに基づく骨折傷病名が観察された場合をエンドポイントとした.累積骨折発生率はKaplan-Meier法で推定し,歯数群別にLog-rank検定により比較した.またリスク因子は,Cox比例ハザードモデルにより,年齢,性別,BMI,喫煙歴の有無,骨粗鬆症と関節リウマチの罹患を調整して解析した.

【結果と考察】
 解析対象は268,277名(平均年齢73.9±6.4歳)で,追跡期間中に62,425名(23.3%)に新規骨折が発生した.累積骨折発生率は,機能歯数では20歯以上26.5%,10〜19歯31.8%,0〜9歯33.7%,現在歯数では20歯以上25.7%,10〜19歯31.6%,0〜9歯34.1%であり,いずれも19歯以下の2群が有意に高かった(p<0.01).Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では,現在歯数20歯以上の群と比較して10〜19歯および0〜9歯の群で骨折リスクが有意に高く(調整後ハザード比:1.112,1.147),独立した関連が認められたのに対し,機能歯数では有意な関連は認められなかった.以上より,日本人高齢者において歯の喪失が骨折発生リスクと独立して関連する一方,補綴治療による機能回復が歯の喪失に伴うリスクを表面化しにくくする可能性が示唆された.