講演情報

[課題6]咬合支持回復が歯の喪失に及ぼす影響:The OHSAKA study

*吉備 皓太郎1、豆野 智昭1、武内 聡子1、池邉 一典1 (1. 大阪大学 大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座)
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【目的】
 補綴装置による咬合支持の回復は,残存歯列の維持に寄与すると考えられている.しかし,その関連を大規模調査で明らかにしたものはみられない.そこで本研究では,大阪府後期高齢者医療歯科健康診査(以下,歯科健診)の大規模データを用いて,後期高齢者における補綴装置による咬合支持回復が,歯の喪失に及ぼす影響を検討することを目的とした.
【方法】
 2019年8月から2023年4月に歯科健診を複数回受診した120,775人のうち,初回歯科健診時に無歯顎であった者,インプラントを有した者,測定項目に欠損値のあった者を除外した108,518人を対象とした.歯式より,天然歯による同名対合歯が存在する場合に咬合支持ありとし,初回歯科健診時における第一小臼歯から第二大臼歯の咬合支持数を基に,臼歯部咬合支持(Posterior Occlusal Support:POS)0-8群に分類した.さらに,補綴装置によって咬合支持数が増加している者を補綴あり,それ以外を補綴なしとする2群で層別化した.初回と最終歯科健診時の残存歯数を比較し,減少している者を歯の喪失ありとした.補綴の有無と歯の喪失との関連を検討するために,ロジスティック回帰分析を用いて,POS 0-7群別に,歯の喪失をアウトカムとした補綴の有無に関する調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(95% CI)を算出した.調整変数は,年齢,性別,体格指数,歯周状態,口腔衛生状態,糖尿病および高血圧の既往,喫煙習慣,観察期間とした.なお,POSに欠損のないPOS 8群は分析から除外した.
【結果および考察】
 分析対象者(POS 0-7群)は,90,099人(男性41.4%,平均年齢79.8歳)であり,平均観察期間は570日であった.そのうち,31.7%に歯の喪失を認めた(表).図に,POS 0-7群別の,補綴なし群を基準とする補綴あり群のORを示す.POS 0群のOR(95% CI)は,0.58(0.46-0.73)と有意であった.さらに,POS 1-4群においてもORが1.0未満であり,有意であった.一方,POS 5-7群では,ORに有意性は認められなかった.これらの結果から,後期高齢者において,臼歯部の咬合支持数が少ない場合には,補綴装置による咬合支持回復が,歯の喪失を抑制する可能性が示された.