講演情報
[1H4-OS-5a-04]ESGインシデントと統合報告書における人物の視覚的表象
〇崎濱 栄治1,4、岩田 剛2,3 (1. 明治大学、2. RepRisk AG、3. University of Zurich、4. 株式会社AGプラス)
キーワード:
ESGリスク、コンピュータービジョン、視覚的表象分析、非財務情報開示、RepRisk
本研究は、企業のESGインシデントが統合報告書における人物の視覚的表象、とりわけ女性の可視性にどのように反映されるかを検証する。2023–2024年の日本企業359社を対象に、統合報告書画像から顔検出・属性推定を行い、女性の視覚的プロミネンス、女性登場ページ比率、女性のみページ比率といった指標を企業年次で構築した。前年のESGインシデント(環境・多様性・社会)と外国人持株比率の交互作用を、業種固定効果と統制変数を含む回帰モデルで推定した結果、外国人持株比率が高い企業ほど、インシデント後の女性表象の調整様式が体系的に異なることが確認された。具体的には、環境リスクでは女性の可視性や配置が強調され、多様性・社会リスクでは女性のみの象徴的表象が抑制される傾向が示された。本研究は、ESGコミュニケーションがテキストにとどまらず視覚表象にも及び、投資家構成によって条件付けられることを示す。実務的には、報告書制作において人物表象が意図せずウォッシングとして解釈されるリスクを踏まえ、投資家属性を考慮した視覚開示戦略の設計が重要であることを示唆する。
