講演情報
[1H5-OS-5b-04]組織ネットワークが社員の協働プロセスに及ぼす心的影響と関係の分析—グループダイナミクスへのLLMマルチエージェントシミュレーションによる探求—
〇斎藤 偲温1、市川 和磨1、関 陽太郎1、大澤 博隆1 (1. 慶應義塾大学)
キーワード:
LLM、LLM as judge、グループシンク、グループダイナミクス、イノベーション
組織のパフォーマンス向上において、心理的安全性等の内面的因子の直接制御は困難だが、組織構造などの物理的因子は比較的制御が容易である。本研究では、大規模言語モデルを用いたマルチエージェントシミュレーションにより、組織構造が構成員の心理・意思決定プロセスに与える影響を分析した。分析にはSemantic Similarity RatingとLLM as a judgeを組み合わせ、会話ログから批判的思考やグループシンク等の指標を定量化した。実験の結果、コミュニティ間会話量の増大は批判的思考を活性化させ、進捗の安定的向上に寄与することが確認された。一方、孤立したコミュニティは独自性を高めるどころか、過度な同調により思考が画一化し、ありきたりになる「独走のパラドクス」が観測された。これは弱いつながりによる異質性取り込みの重要性を示唆する。結論として、高いパフォーマンスと独自性の維持には、集団の機能的分化と適度な橋渡し構造が不可欠である。本知見は、リモートワーク下での偶発的接触の設計やサイロ化防止策に有用な示唆を与えるものである。
