講演情報

[1Yin-B-07]意識体験オントロジー意識研究のためのオントロジーの提案

〇綿引 周1,2、谷中 瞳1,2,3 (1. 東京大学、2. 理化学研究所、3. 東北大学)

キーワード:

オントロジー、AI for science、認知科学、意識研究、ニューロシンボリックAI

意識研究の目的のひとつは,一人称的観点から経験されるがままの意識経験の特徴を明らかにすることである.そのための有望な研究アプローチとして,統制されたインタビュー手続きと分析手法により意識経験の微細な構造を探求するマイクロ現象学(MP)と呼ばれるアプローチが発展し,成果を出してきた.個別の意識経験はその経験主体にしか直接アクセスできず,その限りで「私秘的」な現象だが,被験者の報告の整合性やその他言語内外の特徴,神経活動との対応関係を特定することで,MPの分析結果の妥当性を評価することができる.MPによって特定された記述カテゴリと脳活動パターンとを対応づけるためには,認知科学の他の分野と同様に,大規模なメタ分析と,それを可能にする大規模データベースの構築が必要になる.近年では,生成AIの活用による大規模なメタ分析の可能性が現実的となりつつある.一方で,MPは質的研究である以上,個別事例に対する分析の精細さも損なわない必要がある.MPにおけるこれらの課題解決に向けて,本論文では,単に生成AIによる支援に頼るだけでなく,オントロジーの活用が有用であることを論じ,意識体験オントロジーの構築を動機づける.