講演情報
[1Yin-B-50]不正な会計行為における「機会」の構造化行為分解木を用いたアプローチ
〇瀧 博1 (1. 立命館大学)
キーワード:
財務諸表監査、オントロジー、不正な財務報告
本研究の目的は、上場会社における不正な会計行為の「機会」を、行為分解木及びこれを応用した不正行為モデルに依拠し、不正者がいかなるメカニズムで特定の不正方式を選択・実行するのか、その構造を明らかにすることである。従来の監査実務や研究では統計的な不正検知モデルの開発が主眼であったが、不正者が特定のスキームを採用する内在的な論理の解明は十分ではなかった 。 本稿では、不正会計を「事前的な設計・評価」と「事後的な展開」の二層構造として捉える理論的枠組みを提示する 。第一に、内部統制や外部監査等の制度的環境を制約条件として、実行可能性、隠蔽可能性、合目的性、コストの観点から不正方式を評価・選択する「不正方式評価モデル」を提示する。第二に、不正実行後に生起する観察、発見、対処の過程を対象とする「不具合達成行為としての不正行為モデル」を整理する 。循環取引を事例としたモデルの適用を通じて、不正者の設計合理性と組織の観察構造を相互補完的に解明できることを示した。本研究は、監査実務における不正リスクの構造的検討を促す理論的基盤を提供するものである 。
