講演情報

[2F4-OS-33-01]ベイジアン心の理論による物質的選好と社会的選好の同時推論

〇古家 健成1、佐藤 幹晃1、寺田 和憲1 (1. 岐阜大学)

キーワード:

逆評価、ベイジアン心の理論、社会的価値志向性

人は社会的ジレンマにおいて,他者の心理状態を効果的に推論し,自身の効用を最大にするために行動する.しかし,この能力の基盤となる計算メカニズムは依然として不明である.また,感情表現は他者が結果をどう評価するかを示し,単一の表現が複数の潜在的な選好を反映し得る.しかし,社会的推論においてこれらの複数の選好がどのように統合されるかはモデル化されていなかった.本研究では,人-AI間での複数論点最後通牒ゲームにおいて, 人が他者の感情表現から物質的選好(個人が価値を置く論点)と社会的選好(自己と他者の重み付け)を推論する過程を説明するベイズ推論の計算モデルを提案する.このモデルは,(1) 社会的選好と物質的選好に基づく効用評価,および (2) その結果評価によって駆動される感情生成,という二つの主要メカニズムを通じて推論過程を定式化する.実験の結果,物質的選好の推論はベイズモデルと整合したが,社会的選好の推論はモデルから乖離し,事前分布に支配されていた.これは,人が他者の選好を推定する際,対象領域に応じてデータ駆動的な学習と事前分布に基づく推論を使い分けていることを示唆する.