講演情報
[2H6-OS-2c-02]“Lazy Prices”は日本で成立するか―LLM支援辞書による開示テキストの語彙方向性と株式リターン―
岡田 克彦1、〇中筋 萌1、月岡 靖智1、山﨑 高弘2 (1. 関西学院大学、2. 大阪産業大学)
キーワード:
テキストマイニング、有価証券報告書MD&A、LLM作成辞書、コサイン距離、Jaccard距離
Cohen, Malloy, and Nguyen (2020)は、米国企業の10-Kテキスト変化が将来の株式リターン低下を予測すること(Lazy Prices効果)を示した。本研究では、訴訟リスクが低い日本市場においてこの効果が成立するかを検証する。2015〜2024年度の1,436社・12,191企業年の有価証券報告書のMD&Aセクションから抽出したテキストに対し、3種のテキスト類似度指標を適用した結果、開示変更の大きさはリターンを予測せず、Lazy Prices効果は再現されなかった。一方、大規模言語モデル(LLM)を活用して構築した成長・リスク辞書(各40語)により語彙変化の方向性を分析したところ、成長語彙を追加した企業が有意に高いリターンを示した(Carhart 4ファクターα:年率5.77%、t=2.61)。この効果は大型株に集中しており、翻訳版Loughran-McDonald辞書でも頑健であった。以上の結果は、低訴訟環境では開示変更が防衛的ではなく実態を反映するため、テキスト変化の方向性が情報価値を持つことを示唆する。
