講演情報

[2L4-GS-5c-06]LLMは人間の意思決定を再現できるか?社会調査データを用いた検証

〇大庭 弘継1、石川 真之介1 (1. 立教大学)

キーワード:

社会シミュレーション、LLMエージェント、価値観モデリング

本研究は,LLMが,人間の意思決定をどの程度妥当に再現し得るのかを,実データに基づいて検討することを目的とする.近年,社会シミュレーションなどにおいてLLMに年齢や職業,価値観などの属性を与え,行動や判断を生成する手法が広がっているが,その推定結果が実際の人間の判断とどの程度対応しているかについては,検証が十分になされていない.そこで本研究では,日本・米国で実施した社会調査の結果を用い,個人の属性情報,MFQ2(道徳基盤尺度2),社会的なディレンマである《究極の選択》,個人的なディレンマであるモラル・ディレンマといった設問群の回答の一部を入力として,残りの判断をLLMに予測させる実験を行った.複数の入力条件を比較した結果,一部の条件においてはランダムな水準を上回る一致が示唆された.しかし,詳細な分析の結果,この一致は個人の特性に基づく予測ではなく,特定の判断への偏りというLLMのバイアスによって生じている可能性が示された.本研究は,LLMを社会シミュレーションなどに用いる際に前提とされがちな「人間らしい判断の再現可能性」について,その限界と留意点を検討するための基礎的知見を提供する.