講演情報

[2Yin-A-10]経済環境に接地したLLMエージェントによる意見ダイナミクスのシミュレーション

〇橋本 龍二1,2、金子 正弘1,3、高田 亮介1,2、高柳 剛弘1,2、和泉 潔1,2 (1. 株式会社Simulacra、2. 東京大学、3. MBZUAI)

キーワード:

意見ダイナミクス、マルチエージェントシミュレーション、大規模言語モデル

意見ダイナミクス(Opinion Dynamics; OD)は,個々の意見がどのように変化し,合意や分極といった集団的パターンを形成するのかを研究する分野である.近年の大規模言語モデル (Large Language Model; LLM) ベースのエージェント集団を用いたOD研究は,エージェント自身の行動が将来の制約や結果を生み出すような環境を明示的に扱っていない.そのため,過去の意思決定の結果として生じる経済状況の変化といった,意見形成に本質的な役割を果たす経験的フィードバックが十分に考慮されていない.本研究では,LLM ベースのエージェントが経済環境の中で実際に行動し,その結果として生じる環境の変化からフィードバックを受け取る,新たなODシミュレーションの枠組みを提案する.この枠組みでは,意見はあらかじめ与えられた情報によって更新されるのではなく,行動とその累積的な結果を通じて内生的に形成・変化する.
実験では,LLMベースのエージェントが経済的経験に駆動された一貫したODを示すことが確認された.また,シミュレーションの結果,経済格差と分極化や,価格の不安定化と意見分布の変動といった,実社会に近いマクロ経済環境とODの連動が観測された.