講演情報

[2Yin-A-19]LLMエージェントを用いた人工市場によるCO₂排出権市場分析

〇二俣 新1,2 (1. 東京都立大学、2. 日興リサーチセンター)

キーワード:

人工市場、マルチエージェントシミュレーション、CO2排出量取引、遺伝的アルゴリズム(GA)、大規模言語モデル(LLM)

日本では、二酸化炭素(CO2)排出量取引制度が2023年度に試行的に導入され、2026年度には本格運用が開始される予定である。欧州では排出量取引が長い歴史と高い取引量を有している一方で、日本においてはCO2排出量取引の拡大が依然として主要な課題となっている。
本研究では、マルチエージェント・フレームワークを用いてCO2排出量取引市場を分析する。排出企業、吸収企業、マーケットメーカー、および取引所をエージェントとしてモデル化し、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いてエージェントレベルおよび市場レベルのパラメータを推定するとともに、人工市場を構築する。さらに、大規模言語モデル(LLM)に基づく生成AIを排出企業および吸収企業のエージェントに組み込み、外生的なニュースを反映した注文提案を生成する。
人工市場の分析から、以下の3点の主要な知見が得られた。(1) マーケットメーカーの参入は取引量を増加させること、(2) その増加幅はマーケットメーカーの取引戦略に依存すること、(3) ニュースを取り込むことは、企業行動のみならず市場価格にも影響を与えることである。