講演情報
[2Yin-B-36]複数タイプの投資家エージェントから成る人工市場を用いた企業価値評価
〇坪井 優樹1、原田 邦彦1、尾崎 太亮1 (1. 株式会社日立製作所)
キーワード:
人工市場、マルチエージェントシミュレーション、企業価値評価、エージェントベースモデル
本研究では,企業価値要因の特定を目的とした,複数タイプの投資家エージェントから成る人工市場を用いた企業価値評価について報告する.近年,企業価値の評価において,従来の財務指標だけでなく,非財務指標の重要性も増している.しかし,これら多様な指標は尺度や動態が本質的に異なるため,単一の評価軸で両者を統合的に評価し,企業価値への影響を適切に定量化することは困難である.また,多様な投資家が参加する市場において,各指標が価格形成に及ぼすメカニズムは複雑であり,既存手法では高解像度な評価軸を確立することが難しく,説明力に課題があった.そこで本研究では,実在企業の各種指標を参照して売買を行う複数タイプの投資家エージェントから成る市場を構築し,株価推移が実データに適合するよう,投資家構成等を推定する手法を提案する.本手法は現象説明を主目的とするが,実データを用いた検証の結果,対象期間内の株価変動再現において,従来の統計的手法を上回る性能が確認された.本手法により,各企業の価値形成プロセスや株価への影響を,投資家の投資傾向や企業指標ごとに分解し,その要因の定量的な説明が可能となる.
