講演情報
[3L2-GS-5f-05]エージェント型AIにおける確実性と適用範囲の限界:情報理論と圏論による形式的解析
〇賈 伊陽1、三谷 純2 (1. 東京都市大学、2. 筑波大学)
キーワード:
確実性–適用範囲トレードオフ、マルコフ圏、エージェント型AI
近年のAIシステムは、単なる入力–出力機構を超え、環境を観測し、判断し、行動するエージェントとして運用されつつある。一方で、適用範囲(scope)を拡張するほど、判断の確実性(certainty)を維持することが困難になるという根本的な緊張関係が存在する。Floridi による「確実性–適用範囲トレードオフ予想」は、この問題を哲学的に定式化したものであるが、その形式的基盤は未だ十分に明確ではなかった。 本発表では、有限の情報処理能力をもつAIエージェントを確率的メカニズム(Markov kernel)としてモデル化し、意味的クラス数を適用範囲、最適分類精度を確実性として定式化することで、このトレードオフを情報理論的に厳密な不等式として証明する。さらに、Markov圏の言語を用いることで、この制約が特定のアーキテクチャや学習手法に依存しない構造的不変性をもつことを示す。 また、知覚・記憶・判断を統合するエージェント型システムやモジュール的構成においても、同様の制約が不可避であることを議論する。
