講演情報
[3Yin-A-46]パーソナリティを付与した大規模言語モデルを用いた自動対話によるリーダーシップ創発過程のシミュレーションと評価
〇山西 智恵1、野崎 優樹2、狩野 芳伸1 (1. 静岡大学、2. 甲南大学)
キーワード:
大規模言語モデル、リーダーシップ創発、マルチエージェントシミュレーション
近年のリーダーシップ研究は、「リーダー中心」のアプローチから、メンバー間の相互作用によりリーダーシップが創発される「関係性的アプローチ」へと移行している。しかし、このアプローチを被験者実験で検証することはコストが高く、かつ内面的な心理状態の観察は困難である。本研究では、大規模言語モデル(LLM)を用いたマルチエージェントシミュレーションにより、リーダーシップの創発プロセスを再現・評価する手法を提案する。具体的には、Yuklの階層的分類法に基づきエージェントを構築し、その「思考」と「発話」を分離することで、心理的葛藤のシミュレーションを行った。実験の結果、特定のリーダーが存在しない「シェアド・リーダーシップ」においては、強力なリーダーが存在するパターンと同等の合意形成が達成されることが示された。さらに、被験者実験との比較において、LLMによる客観評価は自己評価と正の相関(r=0.512)を示した一方、人間による他者評価は負の相関(r=-0.202)を示した。この結果は、「客観的行動」と「人間の認識」との間に乖離が存在することを明らかにしており、LLMを用いた組織診断の有効性を示唆している。
