講演情報
[4I5-OS-17b-06]ミシェル・セールにおける情報のふたつのエコノミーフーコーの稀少性[rareté]概念を鍵として
〇髙多 伊吹1,2 (1. 東京大学、2. 日本財団HUMAIプログラム)
キーワード:
情報理論、エコノミー、エントロピー、確率、稀少性
Zipf(1949)は、語の偏った出現頻度分布を、話者/聴者それぞれが持つふたつの相反する経済性の均衡によって説明しようとした。一方が究極的に志向するのはエントロピーの極大(無数の意味それぞれに対応する無限の語彙)であり、他方はその逆(たったひとつの語彙が担う無限の多義性)である。ところでランダムネス=雑音[bruit]からの意味の生成を問う独自の存在論を構想していたフランス現代思想家Serres(1977)は、そのモデルにおいてZipfとよく似た多様化/統一の両極を導入し、意味をその中間状態で発生するものと位置づける。彼の狙いは、Shannon(1948)とWiener(1948)のあいだで生じていた情報量の定義における正負の差異、すなわちエントロピーを複雑さ/乱雑さとして見なす同居しない視点を調停することにあった。本発表では、情報理論のパラダイムを自身の思想的文脈に取り入れたSerresの記述に元の理論的枠組を更新する着想があることを主張し、その発想が同じく情報理論に関心を寄せたFoucault(1969)の稀少性[rareté]概念と呼応していることを説明する。
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