講演情報

[4L5-GS-1b-06]将棋の熟達化モデルに及ぼす表象変換と処理資源の影響

〇村松 希実也1、森田 純哉1 (1. 静岡大学)

キーワード:

認知モデル、ボードゲーム、熟達化、表象変換、処理資源

本研究では,将棋を題材として,熟達した棋譜を記憶として用いることが,必ずしも安定した勝利に結びつかない点に着目し,知識量とそれを活用するための要因との関係を分析した.認知アーキテクチャ ACT-R を用いて,視線移動に基づく盤面探索,短期記憶および長期記憶を備えた将棋モデルを構築し,熟達度の異なる棋譜を宣言的記憶として与えたモデル同士を対局させるシミュレーション実験を行った.熟達者が有すると考えられる要因として,王を中心とした局所構造に基づく相対的盤面表象の利用可能性と,イマジナルモジュールの記憶容量を操作した.その結果,熟達した棋譜を記憶として用いるモデルであっても,相対的表象が利用できない,かつ記憶容量が制限された条件下では,熟達差が成績として再現されない場合が観察された.一方,これらの要因が利用可能な条件では,知識量の差に対応した安定した成績差が維持された.以上より,熟達差の再現は知識量そのものではなく,それを活用可能とする表象形式や処理資源との関係に依存することが示唆された.