講演情報

[5K1-OS-48-06]大規模言語モデルによる臨床的対話の専門性評価ChatGPTを用いた臨床的ロールプレイセッションの比較分析

〇畑中 千紘1、粉川 尚枝1、中山 真孝1、鈴木 優佳1、山口 幹子1、足立 龍誠1 (1. 京都大学)

キーワード:

大規模言語モデルによる心理相談、大規模言語モデルによる専門性の再現、AI心理相談における倫理と安全性、臨床的対話、ロールプレイ

本研究では、大規模言語モデル(LLM)による心理カウンセリングの臨床的専門性を検証するため、大学生の悩みを題材とした共通シナリオに基づくロールプレイセッションの比較分析を行った。臨床心理学専攻の大学院生と複数のプロンプト条件を用いたChatGPTによる対話を収集し、鈴木(2017)を基にした評定基準により数量化を行い、人間同士のセッションデータと比較した。その結果、LLMには複数の視点から情報提供を網羅的に行うという特徴や、選択肢の提示により相談者に感情を選択させて効率的に終結へ導こうとする構造化の強さが目立った。また、相談者の話を過剰に肯定する傾向がみられ、相談者が否定的な内容を語るスペースが生まれにくいこと、さらには、相談者が「語らないこと」への保証は与えるものの、沈黙や迷いを許容して自由に語る「間」を十分に持たず、対話を先急ぐ傾向も示された。これらの特徴は、LLMがある程度客観的な情報提供者である一方、相談者を抱え(Contain)、体験を物語として象徴化・統合する場を構築することには課題があることを示唆している。本発表では、LLMの出力特性が臨床的対話の質に与える影響と、今後の専門性再現の展望を議論する。