日本畜産学会第130回大会

日本畜産学会第130回大会

2022年9月14日〜9月17日東京農業大学
日本畜産学会大会
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日本畜産学会第130回大会

2022年9月14日〜9月17日東京農業大学

[IYS-03]ルーメン内短鎖脂肪酸バランスを指標とした泌乳牛の生理特性およびルーメン微生物相の特徴

*瀧澤 修平1、真貝 拓三1、小林 洋介1、舛田 正博2、橋場 健治2、内沢 航太2、寺田 文典1(1. 農研機構畜産部門、2. 家畜改良セ)
【目的】ルーメン内短鎖脂肪酸バランスは(酢酸+酪酸):プロピオン酸比(non-glucogenic to glucogenic short chain fatty acids ratio、以下NGR)で表され、NGR低値になるほどメタン生成量も低値になる。NGR制御によってメタン削減を図るには、低NGR牛での生理特性や微生物相の特徴を明らかにする必要がある。本研究は泌乳牛におけるNGRに注目し、生理特性への影響を大規模牛群調査で明らかにするとともに、低NGRを示すルーメン微生物相の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】家畜改良センター新冠牧場にて飼養しているホルスタイン種泌乳牛77頭について、メタン生成量、ルーメン液性状、血液性状、および乳成分の相関関係を解析した。さらに、低NGR牛(26頭、平均NGR=2.4)と高NGR牛(26頭、平均NGR=4.0)に分けルーメン微生物相を比較した。【結果】NGRはメタン転換効率や乳生産あたりのメタン生成量、ルーメン液のpH、血中脂質濃度、乳脂率と正の相関を、総短鎖脂肪酸濃度と負の相関を示した。低NGR牛でコハク酸および乳酸生成菌が特徴的に多く存在した一方、主要なメタン生成古細菌は少なかった。以上より、プロピオン酸前駆物質であるコハク酸や乳酸の生成と利用によってプロピオン酸生成が行われることで、メタン生成量が減少している可能性が示唆された。