講演情報

[IV-20-08]ブタ体外受精時におけるエラグ酸処理による多精子侵入抑制効果

*川崎 こころ1、平井 萌1、伊敷 優希1、長浜 彩里1、建本 秀樹1 (1. 琉球大農)
【目的】抗ヒアルロニダーゼ作用を有し,精子−透明帯(ZP)間の相互作用に関わる糖鎖を持たないエラグ酸を用いて,ブタ体外受精(IVF)時の多精子侵入抑制にヒアルロニダーゼ阻害効果が関与しているか否かを検討した.【方法】体外成熟後,エラグ酸(0, 1, 2.5, 5および10 μg/mL)を添加した培地でIVFを行った.同時に,媒精2時間後のZPへの結合精子数と,その精子の先体反応誘起率を測定した.さらに,5 μg/mLエラグ酸処理卵におけるZP硬化の有無,ならびにエラグ酸の抗酸化能も観察した.【成績】ヒアルロニダーゼ阻害剤として報告されているアピゲニンと比較したところ,エラグ酸はアピゲニンよりも有意に強いヒアルロニダーゼ抑制効果を示した.そして,IVF培地への5 μg/mLエラグ酸添加は,卵丘細胞の有無に関係なく精子侵入率に悪影響を及ぼさず多精子侵入のみを顕著に抑制した.また,エラグ酸処理はZPへの結合精子数とZP硬化に対して影響を及ぼさなかった.一方,アピゲニンに比較して抗酸化能が著しく低いエラグ酸であっても,ZPへの結合精子の先体反応誘起率はエラグ酸処理に伴い有意に減少した.【結論】ブタIVF時の多精子侵入はエラグ酸の抗ヒアルロニダーゼ作用により抑制され,この作用機序にはZP構成糖タンパク質の硬化や変性は伴わず,先体反応誘起に関する精子−ZP間の相互作用にエラグ酸は関与していると考えられた.