講演情報

[IV-20-09]卵子回収液へのアスコルビン酸の添加はウシ卵巣吸引卵子の生存率を改善する

*伊丹 暢彦1、平尾 雄二1 (1. 農研機構畜産研究部門)
【目的】食肉処理場由来のウシ卵巣を利用する場合、実験室への移動及び採卵までの時間に卵巣は虚血状態に陥る。この卵巣からの採卵時にはいわゆる虚血再灌流の状況と同じ、活性酸素に起因する細胞障害が生じることが考えられる。本研究では吸引採卵の際に用いるPBSに、抗酸化作用を有するアスコルビン酸ナトリウム(Asc)を添加し、その後の卵子生存率や活性酸素量に及ぼす影響を調べた。【方法】吸引に用いるシリンジと卵胞液貯留用チューブにあらかじめPBSを入れておき、最終的に卵胞液とPBSが約一対一になるように採卵した。卵胞液貯留用チューブは、採卵中は38℃に保温しつつ定期的に緩やかに撹拌した。PBSに400 µMのAscを添加したものを試験区として用い(最終濃度約200 µM)、非添加区を対象区とした。回収した卵子をヒアルロニダーゼにより裸化し、生存率の判定をPropidium Iodide染色にて、活性酸素量の測定をCellROX染色にて行った。【結果】対象区と比較して、Asc区では卵子生存率が約10%高かった(79.0% vs 89.4%, p=0.02)。活性酸素量は対象区を基準とした場合、Asc区で減少した(1.00 vs 0.73, p=0.001)。このことから、卵子回収液へのAsc添加はウシ卵巣吸引卵子の生存率を改善することが示された。