大会長挨拶

大会長 吉田 成仁(立教大学)
「どこまでを、私たちの現場と呼ぶか」
アスレティックトレーニングの射程は今、私たちがかつて想定していた境界線を越え、二つの方向へと広がり続けています。
一つは、向き合う「対象」の広がりです。トップアスリートの競技復帰から、動く喜びを求めるすべての人のウェルビーイングへ。もう一つは、私たちが立つ「環境」の変容です。スタジアムを包む酷暑。災害や紛争のもとで損なわれる、身体を動かす自由。これらもまた、現代のアスレティックトレーニングが向き合わざるを得ない現場の姿です。
そのなかで私自身、専門性にばかり目が行くことで、自分の現場を狭めてはいないかと問い直す機会が増えています。エビデンスを積み上げることに気を取られ、目の前で起きている変化を見落としてはいないか、と考えることもあります。
第16回大会のテーマ「智慧の継承と共創が彩るアスレティックトレーニングの未来」には、知識を単なるデータの集積に留めず、先人から受け継いだ智慧を現代の複雑な文脈のなかで練り直し、皆さまと共に新たな価値を創り上げたいという、実行委員一同の意志を込めました。
大会エンブレムは羅針盤です。外側の歯車は、噛み合わなければ回りません。羅針盤は方角を示しますが、どこまで行くかは決めてくれません。それを決めるのは、会場で交わされる議論と、画面の前で続く思考です。会場にお越しになる方も、離れた場所から参加される方も、等しくこの大会の当事者です。会期の二日間で終わらず、オンデマンド配信の期間を通して考え続けていただける大会にしたいと考えています。

本大会は、競技場の外側にまで届きうる私たちの営みの可能性を、参加者の皆さまと多面的に描き直す場です。2027年7月、埼玉会館で、そして画面越しに、皆さまとお会いできることを楽しみにしています。本大会が、明日の現場の景色を塗り替える一歩となることを願っています。
皆さまと一緒に、実りある大会を作らせてください。どうぞよろしくお願いいたします。
(2026年10月1日)
