[3C-07]塩麹の酵素による食パンの品質への影響
〇京極 奈美1、小林 理恵1(1.東京家政大)
キーワード:
塩麹、食パン、酵素活性
【目的】塩麹は麹菌の酵素を活かしたまま利用できる発酵調味料である。本研究では塩麹の持つ麹菌の活きたプロテアーゼの新たな活用法として、小麦アレルゲンタンパク質の低減化を目指し、その検証の前段階として、市販塩麹の特徴を明らかにしたうえで、食パン生地に加えて調製した際の食パンの品質への影響を検討した。【方法】入手しやすい市販塩麹3種について、水分量、pH、塩分濃度、表面色を測定し、得られた結果をもとに食パン調製時に必要となる加水量と塩分量を決定した。また、生地物性や、アレルゲン低減化の比較の際に必要なパラメータである、塩麹のα-アミラーゼ活性、酸性および中性プロテアーゼ活性を測定した。食パンのドウ生地の圧縮試験を行い、初期弾性率から硬さ、焼成後食パンの表面色、破断強度を測定し、塩麹を添加しない基準食パンとの比較を行った。【結果】市販塩麹の酵素活性は、α-アミラーゼ活性、酸性および中性プロテアーゼ活性でそれぞれ差がみられた。ドウ生地の硬さおよび焼成後食パンの破断エネルギーの試料間に差はなく、基準食パンに比べて有意に柔らかくなった。食パンの色は、基準食パンに比べて目視でもクラストの焼き色が濃く、色差⊿E*値も大きかった。褐色度の相違には加熱による影響、塩麹中の中性プロテアーゼおよびα-アミラーゼの作用によるタンパク質とデンプンの低分子化により、アミノカルボニル反応が起こりやすくなったことが示唆された。