一般社団法人日本家政学会第74回大会

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2022年5月27日〜5月29日オンライン開催
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[3C-09]柚珍秘密箱に掲載された柚子料理について

〇名倉 秀子1(1.十文字学園女大)

キーワード:

柚子、江戸時代、料理本

目的 豆腐百珍(1782年)を始めとする江戸時代後半の料理本には,玉子,鯛,大根,柚子などの食品別に百種類の作り方を掲載している百珍本がある.一般的に柚子は,料理の主材料になることが少なく,使用量も多くはない食品である.そこで,柚珍秘密箱「柚子百珍」に掲載された料理について,種類や調理法および献立の位置づけを分析し,柚子を通した江戸期の食生活を推察することを目的とした.
方法 人文学オープンデータ共同利用センターの古典籍画像データとして情報公開されている「柚珍秘密箱」を対象に,くずし字を解読した.各料理の柚子の種類や使用部位,調味料を含む食材料,調理法などを抽出し,コード番号を付してデータベースの作成,集計を行った.
結果 「柚子百珍」の料理は,柚子の果皮が鮮黄色になり収穫する11月頃から順に掲載され,総数44品であった.柚子の種類は,本柚子38品(餅柚子含む,内16品が大),青柚子3品,花柚子3品であった。柚子の使用部位は,果皮と実の全体17品,果皮18品(内7品が柚子釜),一部分カット8品,その他1品が検出された.調理法は,非加熱9品,煮る・茹で・炊く14品,蒸す14品,焼く5品,揚げる2品となった.柚子を主材料とした料理は少なく,酸味や香りを利用した料理,柚子釜として内側に詰め物をする料理が検出された.レシピには効能説明も多く出現し,健康のための柚子利用が確認できた.