セッション詳細

シンポジウム20 距離を超えて育む産業保健のポテンシャルー遠隔支援から人材育成まで

2026年5月30日(土) 14:00 〜 16:00
第4会場
座長: 梶木 繁之(株式会社産業保健コンサルティングアルク/遠隔産業衛生研究会世話人), 村山 亜矢子(高砂熱学工業株式会社 人事部健康推進室)
1. 背景と課題:遠隔産業保健の進化
現代社会における働き方の多様化や事業場の分散化は、産業保健のあり方を劇的に変容させています。特に中小規模事業所や地方における専門職の確保は長年の課題でしたが、ICTの進展により、遠隔技術を活用した産業保健活動は現実的かつ不可欠な解決策となりました。COVID-19パンデミックを契機に普及したこれらの手法は、今や単なる「対面の代替」や「効率化の道具」ではありません。物理的な距離を超越し、産業保健の提供体制そのものを根底から再構築する試みへと進化を遂げています。法制度やガイドラインが整備途上にある今、テクノロジーの進化に即応した継続的なアップデートが求められています。
2. 本シンポジウムの構成と目的
本シンポジウムでは、「距離を超えて産業保健の質を高める」という理念を掲げ、「遠隔支援の実践」と「次世代の人材育成」の二軸から議論を展開します。
地理的制約の打破と産業保健支援の拡張(守田祐作先生)
遠隔技術を用いた労働者支援と専門職育成の具体的事例が報告されます。これは単なる利便性の追求ではなく、これまで支援が届きにくかった層へのアクセスを改善し、産業保健の「裾野」を広げる挑戦です。遠隔支援が対面の劣化コピーではなく、支援の選択肢を豊かに広げる武器であることを示唆します。
中小規模事業所への革新的産業保健モデル(田中完先生)
ITによる遠隔支援と産業医報酬の多元化を融合させた、小規模事業所向けの新たな嘱託産業医モデルが提示されます。限られたリソースで質の高いサービスを維持するこの実践は、日本の労働者の多くを占める中小企業支援の持続可能なロールモデルとなります。
オンラインによる産業保健専門職コミュニティ(五十嵐侑先生)
地方や小規模現場で孤立しがちな産業保健職を繋ぐ、オンラインコミュニティを通じた人材育成が紹介されます。デジタル空間での学びと繋がりの創出は、個人の専門性向上のみならず、職能的なアイデンティティを支える背骨となります。
3. 結びに代えて
これら三つの視点に共通するのは、「距離」という制約を「価値」へと転換しようとする志です。テクノロジーを使いこなし、新たな価値を創造する「探索者」としての姿勢こそが、現代の産業保健の専門家には求められています。
本シンポジウムが、遠隔支援を戦略的に再定義し、すべての働く人の健康と未来を守るための契機となることを切に願います。

[S20-1]遠隔技術によって広がった産業保健のポテンシャルと留意点

守田 祐作1,2,3 (1.日本製鉄株式会社 東日本製鉄所 鹿島地区, 2.産業医科大学 産業生体科学研究所 健康開発科学 非常勤助教, 3.産業衛生学会 遠隔産業衛生研究会 世話人)
コメント()

[S20-2]最強の嘱託産業医が小規模事業所に手厚いサービスを届ける

田中 完 (KOMET産業医センター)
コメント()

[S20-3]オンラインによる全国の産業保健職の質の向上への挑戦

五十嵐 侑1,2 (1.産業医科大学 産業医実務研修センター, 2.産業保健オンラインコミュニティ)
コメント()