セッション詳細

メインシンポジウム5 産業保健に役立つ日本人の生活習慣病発症予防のエビデンスのすべて2

2026年5月30日(土) 10:15 〜 12:15
第2会場
座長: 佐藤 恭子(大阪公立大学大学院医学研究科産業医学), 神田 秀幸(岡山大学学術研究院医歯薬学域公衆衛生学)
 わが国の産業保健現場において、労働者の健康保持増進は喫緊の課題であり、その中心をなすのが「がん」および「循環器疾患」の発症予防である。これら二大疾患は、日本人の死因の大きな割合を占めるのみならず、罹患に伴う労働生産性の低下や休職・離職を通じて、個人および組織の双方に甚大な影響を及ぼす。
 本シンポジウムでは、こうした課題に対し、日本人を対象とした疫学研究により構築されてきた発症予防のエビデンスを体系的に再整理し、産業保健の現場における実践へと接続することを目的とする。そのために、日本におけるこれらの疾患予防のエビデンス構築を牽引してきた第一人者を招請した。
 まず、がんについては、井上真奈美先生により、国立がん研究センターを中心とした大規模疫学研究の成果に基づき、日本人におけるがん発症の規定要因および予防に関するエビデンスが提示される。がんの多くは生活習慣を含む修正可能な要因により規定されるが、その寄与の様式はがんごとに異なる。わが国においては、長年にわたる疫学研究の蓄積により、日本人に適したがん予防戦略の科学的基盤が形成されてきた。本講演では、主要ながんに加え、近年増加が指摘されるがんにも焦点を当て、産業保健の実務に接続可能な予防の方向性が提示される。
 一方、循環器疾患については、三浦克之先生により、国内大規模コホート研究およびNIPPON DATA等の成果に基づき、発症予防のエビデンスが提示される。循環器疾患は依然として我が国の主要死因であり、その発症には高血圧、脂質異常症、喫煙等の生活習慣関連因子が深く関与する。なかでも高血圧は最大の寄与因子として位置づけられるが、その管理はなお十分とは言えない。本講演では、これら危険因子の寄与構造とその制御の意義が、疫学的エビデンスに基づき精緻に整理される。
 本シンポジウムは、日本人を対象とした大規模疫学研究から蓄積されてきた知見を基盤に、がんおよび循環器疾患の発症予防に関するエビデンスを整理し、それを産業保健現場でどのように活用すべきかを示すことを目指すものである。生活習慣病予防の実践において、科学的根拠を正しく理解し、それを職域の健康管理に応用することは極めて重要である。本シンポジウムは、産業保健に携わる専門職にとって、日本人に適した生活習慣病予防のエビデンスを再確認し、日常の実践を一層深化させる契機となることを期待するとともに、日本発のエビデンスが世界標準を形成してきた過程を示すものである。

[MS5-1]日本人のがん発症予防のエビデンスのすべて:産業保健現場での必須の知識

井上 真奈美 (国立がん研究センターがん対策研究所/聖路加国際大学 大学院公衆衛生学研究科)
コメント()

[MS5-2]日本人の循環器疾患発症予防のエビデンスのすべて:産業保健現場での必須の知識

三浦 克之 (滋賀医科大学NCD疫学研究センター)
コメント()