セッション詳細

シンポジウム14 カスタマーハラスメント対策の実践例-すべての働く人の健康のために-

2026年5月29日(金) 9:00 〜 11:00
第6会場
座長: 三木 明子(関西医科大学看護学部・看護学研究科), 志田 三四郎(一般財団法人日本健康開発財団)
 近年、顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)」が深刻な社会問題となっています。令和7年6月には、企業にカスハラ防止対策を義務付ける改正労働施策総合推進法が成立し、令和8年10月に施行となります。カスハラは単なる顧客トラブルに留まらず、働く人の健康および就業環境を著しく害し、精神障害による労災認定の具体的出来事にも追加されるなど、産業保健における喫緊の課題となっています。本シンポジウムでは、すべての働く人の健康を守るため、カスハラ対策の基本を押さえ、組織体制の整備、医療現場等での実践例、そして法的な視点まで、多角的に議論を展開していきたいと考えております。
 シンポジウムでは、まず、当該分野の研究者・専門家として三木明子氏(関西医科大学)より、カスハラの実態と企業が取るべき基本施策について概説します。カスハラはパワハラ、セクハラと並び労働者の就業環境を害する主な要因である現状を指摘し、事業主による基本方針の明確化や相談体制の整備といった、予防・解決に向けた不可欠な4つのステップを提示します。続いて、産業医の増田将史氏(株式会社Smart OHW)は、労働衛生の「5管理」の枠組みからカスハラ対策を体系化します。「総括管理」を全ての基盤としつつ、産業保健職が現場の声を経営層へ届ける「橋渡し役」として、いかに組織的対応を促すべきか、その専門的役割を論じます。現場の実践報告として、産業看護職の太田由紀氏(太田労働衛生コンサルタント事務所)は、病院における事例を紹介します。患者家族からの暴言・暴力に対し、組織として「No」と言う風土を醸成することの意義や、マニュアル改訂・報告体制の整備が被害者の孤立を防ぎ、安心感に繋がったプロセスを共有します。さらに、志田三四郎氏(日本健康開発財団)からは、被災社員のケアに焦点を当てた報告がなされます。カスハラ遭遇直後の初期対応から、PTSDや適応反応症を防ぐための継続的支援、そしてセカンドハラスメントの防止まで、産業医の立場から具体的なメンタルヘルス支援の在り方を提案します。最後に、弁護士の淀川亮氏(弁護士法人英知法律事務所)が、法的問題と職場の対応ポイントを整理します。企業の安全配慮義務と損害賠償責任の関係を最新の判例から解説し、適切な初動対応や警察・弁護士との連携といった、法的リスクを管理しつつ従業員を守るための指針を明示します。
 カスハラ対策の成否は、個人の対応力に委ねるのではなく、「総括管理」を核とした組織的取り組みに他なりません。本シンポジウムが、産業保健専門職や人事労務担当者の皆様にとって、法改正を見据えた実効性のある対策構築の一助となり、働くすべての人々が安全に、健やかに就業できる環境づくりに寄与することを切に願っております。

[S14-1]カスタマーハラスメントの実態と企業が取るべき対策

三木 明子 (関西医科大学看護学部・看護学研究科)
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[S14-3]病院におけるカスタマーハラスメント対策の実践

太田 由紀 (太田労働衛生コンサルタント事務所)
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[S14-4]カスタマーハラスメントに遭遇した社員のケア

志田 三四郎 (一般財団法人日本健康開発財団)
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[S14-5]カスタマーハラスメントと法的問題-事例からみた職場の対応のポイントー

淀川 亮 (弁護士法人英知法律事務所)
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