講演情報
[I-CPD1-3]未手術大動脈縮窄に対するカテーテル治療
○伊吹 圭二郎, 岡部 真子, 仲岡 英幸, 小澤 綾佳, 廣野 恵一 (富山大学附属病院小児科)
キーワード:
native CoA、カテーテル治療、ステント
【背景】大動脈縮窄(CoA)は比較的頻度が高い先天性心疾患であり、新生児から成人まで幅広い年齢が治療対象となる。近年、未手術CoA(native CoA)に対して、バルーン拡張術やステント留置などのカテーテル治療が、外科手術と並ぶ治療選択肢として位置づけられるようになってきた。国内外のガイドラインにおいても、特に成人および体格の大きな小児に対するステント治療の有用性が支持されている。【要旨】海外では、成人や体重25kg以上の小児に対するステント治療が標準的な治療として位置付けられている。ステント治療は、外科手術と比較して入院期間や合併症が少ないことが示されており、COAST、COAST IIなど複数の試験で良好な成績が報告されている。一方、体重25kg未満の症例においては、従来バルーン拡張が主流であったが、近年では低プロファイルステントの登場により、ステント治療の適応が拡大している。体重20kg以下の症例に、成人サイズのステントが安全に留置可能とする報告もある。2022年AHA/ACCガイドラインでは、画像診断と血圧管理を含めた長期的なフォローアップの必要性が強調されている。特に乳児や小児では、将来的な成長を見越したな段階的ステント再拡張が必要となるため、長期的視点での治療計画が不可欠である。新生児や低体重乳児では、循環動態が不安定な例も多く、バルーン拡張による一時的な血行動態の改善や、必要に応じた姑息的ステント留置が検討される。これらの症例では、最終的に外科的修復へ移行するハイブリッド治療も一つの選択肢となる。【まとめ】Native CoAに対するカテーテル治療は、年齢・体重に応じて戦略を最適化する必要があり、特に小児・乳児例では再介入や成長への対応を見据えた計画的治療が重要である。デバイスの進歩により、将来的なカテーテル治療のさらなる発展が期待される。