講演情報

[I-CPD1-4]低出生体重児の大動脈縮窄に対するカテーテル治療

石垣 瑞彦1, 金 成海1, 眞田 和哉1, 佐藤 慶介1, 芳本 潤2, 満下 紀恵1,2, 新居 正基1, 伊藤 弘毅3, 廣瀬 圭一3, 坂本 喜三郎3, 田中 靖彦1 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.静岡県立こども病院 不整脈内科, 3.静岡県立こども病院 心臓血管外科)
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キーワード:

早産児、ステント、救命

先天性心疾患を伴った低出生体重児では,肺血流増加型心疾患に対する外科的な肺動脈絞扼術や動脈管結紮術は治療戦略として確立してきた一方で,その他の疾患では個々で難しい判断が必要となることが多い.これらの疾患では,体重増加後の外科手術まで待機が最も望まれる治療選択肢となるが,待機が許されない症例も一定数存在する.そういった症例では,救命のための観血的な治療介入が検討されるが,特に早産児では,頭蓋内の合併症など神経学的予後への配慮が重要となる.心室中隔欠損などの他の心血管奇形を伴わない単純型大動脈縮窄では,左心室の後負荷不適合および動脈管の維持等に伴う高肺血流により心不全をきたす.根本的な治療は外科的な大動脈形成術となるが,早産児・低出生体重児,特に体重1,000 g前後以下での外科手術は体格,未熟性の観点から通常よりも高い手術リスクを伴う.狭窄の程度が軽く血管作動薬等による内科的治療で病状が安定した場合には待機的治療介入が可能となるが,狭窄の程度が強いものに関しては従来救命が難しかった.当院では,待機ができない早産児・低出生体重児の大動脈縮窄例に対して,カテーテル治療としてステント留置を行ない体格成長後の外科手術への橋渡しとしている.過去に7例治療を経験し,1例のみ心室中隔欠損を合併していた.施行時の体重は,840(680-1,060) g,修正週数は32(30-33)週であった.初期に失った症例があるものの5例が中枢神経合併症なく生存,外科手術に到達している.本講演では,当治療の詳細とその後の外科治療も含めて述べる予定である.